過去ログ - ハルヒ「BLって素晴らしいわね」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/11/24(月) 02:57:48.86 ID:tgtZELLQO
「友達……ですか」


 古泉が心底意外だと言わんばかりの表情をした。
 それが当たり障りもなく流れていた俺と古泉の会話を断ち切った。そういうリアクションを返すところではないと少なくとも俺は思っていたので、何故古泉がそんな顔をするのか俺にはそっちが意外だった。

 「なんだよ…それがどうかしたか?」

 眉をしかめつつ返すと、古泉は何度か瞬きをした後ふわりといつもの笑顔を顔に戻す。

 「いえ、すみません。あなたは僕のことを友人だと思っていたのですね…
 はあ、成る程」

 何がなるほど、なのか。
 まるで難解な数学理論かなにかを理解できたみたいな口調だ。
 古泉のよくわからない反応に、さっきまで交わしていた会話を覚えている限り頭の中で巻き戻してみる。話していた内容はこうだ。
 昨日の晩、今週の日曜妹の友達の母親と外出するので留守番していてほしいとお袋に頼まれた。しかしその日は先々週から古泉と映画に行く約束をしていたので(このへんの経緯は長くなるので割愛する)「友達と約束があるから」と断った。お袋はその"友達"を国木田と勘違いしていたので、古泉だと訂正をした…そこまでだ。
 はっきり言って意味もなければ中身もない他愛もない日常会話であって、びっくりするようなオチもなければ成る程、と相槌を打つような推理小説のトリックをネタバレしていたわけでもない。

 「意味が分からんぞ、お前」

 腕組みをしてパイプ椅子の背もたれに寄りかかる。
 古泉がまたすみません、と言った。ちっともすまさそうに見えない。
 俺が唇の端を引き下げるのに比例するように古泉の口角が上がる。何がそんなに面白いのか是非俺にもわかるように説明してほしいもんだ。どうせろくなことじゃないんだろうがな。
 古泉が伏せっていた視線を上げて目の前の俺の顔を見た。
 申し訳ありませんが、と古泉が笑顔のままでわずかに眉尻を下げる。






 「僕はあなたのことを友人だとは思ってないんですよ」















メランコリック・ブルー















 ここで質問だ。
 毎日のように顔を合わせてボードゲームなどに興じる同じ部活の奴を、あなたにとってその人は何ですかと尋ねられたとする。おそらく10人中9.6人くらいは友達・知り合い・朋友・学友など等という回答をすると思われる。それが当然だ。
 しかしその毎日のように顔を合わせてボードゲームなどに興じる同じ部活の奴に面と向かって「友達だと思っていない」と言われた場合、どういう返事をするのが正解なのか。  そんなきまずい場面に遭遇したことは俺のなけなしの人生経験上にはない。そう、まさに今その状態なのだが。

 あっけにとられている俺の目の前のオセロのボードに、何事もないかのような笑顔で古泉が黒石を足した。ひとつ、ふたつ、みっつと白が黒に裏返り入れ替わる。

 「あなたの番ですよ」

 促されてはっと我に返った。
 もしかして聞き間違いか?いやその割にははっきり聞こえた。
 まだ何がベストの返答なのか検索できずにいる思考のまま、石を手に取る。それと同時に今度は古泉が椅子に凭れて、長い指を優雅なしぐさで組んだ。

 「まあ、"機関"の上の方からはそれらしくするように言われてはいるんですがね。
 特に、あなたには親密な友人として可能な限り接近するようにと」


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