過去ログ - 絵里「これは」にこ「恋ではない」
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7: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/25(火) 22:00:39.98 ID:gmNfp8uFO
自身二度目の結婚式。隣には前回と同じく、純白のドレスに身を包んだにこが居た。

「……綺麗よ」

私と同じ柄の特注品は、彼女の華奢な外見に見事なほどの彩りを与えた。

「絵里も、よく似合ってるわ」

にこが所属する芸能事務所が費用を捻出した披露宴。

会場にカメラを設置して生中継でお茶の間に放映されると聞かされた時は仰天したけれど。

それでもにこと一緒なら──。そう思って快諾した。同性愛者であることを公表した今でも、矢澤にこはお茶の間の人気者だった。

『それでは、ふたりの花嫁の入場です』

司会を務める有名俳優の落ち着いた声が会場にこだまして、ゆっくりと扉が開かれる。

と同時に浴びせられるのは、途切れることのないフラッシュの雨。

招待客の人数を聞かされた時もめまいがしたけれど、この光もなかなか堪える。

カメラのフラッシュで彩られたアーチを、にこの手に引かれて抜け出して。

足下がややふらつくけど、にこが歩調を合わせてくれるお陰で転ぶことはない。

そうして自分達の席に辿り着くと、式は滞ることなく進められた。

家族や親しい友人から、優しい祝福の言葉が投げ掛けられて。それを見つめるのは私と、私の知らない大勢の人々。

この光景を、みんなは何を思って見ているだろう。

無数の視線の元、私とにこは愛の言葉を交わし合う。

指輪をはめて、そして瞳を閉じれば。

少し背伸びをして、あなたは控えめな口付けを私に。

会場が歓声と祝福の言葉に包まれた事に気が付いて。

そうして私が流したひとすじの涙を、にこはもう一度くちづけして掬い取った。


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