過去ログ - ビッチ(改)
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/27(木) 23:48:50.11 ID:McEK2sxMo

 その時、僕の腕が誰かに強く掴まれて引き寄せられた。

「こんなところで何してるの?」

 僕の腕にいきなり抱きつき甘ったるい声で上目遣いに僕に話しかけてきたのは私服姿の
妹だった。

 その派手でケバい姿は清楚なナオと同じ中学二年生とは思えない。突然僕に抱きついて
きた派手な女の子の登場に、ナオも驚いて微笑みを引っ込めて黙ってしまっていた。

 何でこいつが僕のことを名前で呼びかけて、しかも僕の腕に抱きつくのか。こんなこと
は今までなかったのに。

 そう思った時、僕はさっき僕のベッドの中で僕に抱きついたまま寝入っていた妹のこと
を思い出した。

 嫌がらせか。僕は珍しく本気でこいつに腹を立てていた。昨日僕とナオが一つの傘に入
って一緒に駅に向うところを目撃した妹は、今日も僕たちが一緒なのではないかと思いつ
いたに違いない。そしてこいつは僕とナオが恋人同士だと思い込んでいた。

 もう間違いない。こいつはわざわざ僕に嫌がらせをするために、こいつが勝手に思い込
んでいる僕とナオの関係を邪魔することにしたのだろう。

「どした? ナオト、この人誰?」

 妹が僕の腕に抱きついたまま僕の方を上目遣いに眺めながら言った。何か妹の柔らかな
ものが僕の腕に押し付けられている感触があった。

 人というのはこんなんに純粋な悪意によって行動できるのだろうか。父さんたちの再婚
以来こいつが僕のことを徹底的に嫌っていることは十分にわかっていた。

 自分の部屋のドアを開け放してあられのない姿を僕に見せ付けるのだって、そんな自分
の姿を覗こうとする僕のことを父さんたちに言いつけるための嫌がらせだった。

 でもそういう妹の行為に対して僕は一定の範囲で理解して許容していたのだ。父さんと
母さんは僕のことをいつも誉めてくれる。成績も素行もよく両親の言うことをしっかりと
守るいい子だと。そのことが妹にとって強いプレッシャーになっていたことは間違いない。
次第に彼女は両親に対して反抗し、僕に対しては攻撃的なまでの嫌がらせを繰り返すよう
になった。

 同時に僕と違う自分を演出しようとしたのか、妹は勉強とか部活とかには背を向けて遊
び歩いているグループに入って、両親の帰宅が遅いのをいいことに夜遊びを繰り返ように
なったのだった。

 僕はこいつの彼氏という男とこいつが一緒に歩いているところを見たことがある。派手
な格好で大きな声で傍若無人に振る舞う工業高校の高校生。その時の僕は、自分には関係
ないと思いつ自分の妹がこんなやつのことを好きだということに無意味に腹を立てたのだ
った。

「お邪魔してごめんなさい。あたしもう行かないと」

 ナオが戸惑ったような声を出した。さっきとは打って変って笑顔もなく僕に視線も向け
てくれなかった。

「いや、ちょっと」

 僕がナオにこいつは自分の妹だよと言おうとした時、妹が僕を遮るようにナオに話かけ
た。

「あ、そう? 何か邪魔したみたいでごめんね。あたしいつもナオトとは一緒に登校して
るからさ」

 僕は妹に反論してこの一連の出来事が嘘だよとナオに言いたかったけど、その機会を与
えてくれずナオは僕と僕の腕に抱き付いている妹にぺこりと頭を下げて、駅の方に去って
行ってしまった。ナオはもうこちらを振り向かなかった。


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