18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/27(木) 23:51:53.68 ID:McEK2sxMo
渋沢に相談していると僕はだいぶ気が楽になってきた。ナオのメールを見た時の興奮や
歓喜は時間が経つにつれ僕の中でプレッシャーに変化していた。
こんなに都合よくあんな美少女が僕に告白するはずがない。だとしたら何で彼女は出会
った翌日にろくに会話したこともなくどういう男かわからない僕なんかに告白したのだろ
う。しかも今朝は妹の嫌がらせもあったわけで、彼女の僕に対する印象は最悪のはずだっ
た。
でも渋沢はそんな僕の心配なんか今は考える必要なんかないと言った。
「おまえのことが気になって夜も眠れないとかメールにはっきり書いてあるじゃん。これ
以上彼女に何を求めてんの? おまえ」
「とりあえず彼女のことが気になるんだろ? それなら明日君が好きって言えよ。付き合
ってみてこんなじゃなかったって愛想つかされることなんか心配してたらいつまで経って
も彼女なんかできねえぞ」
多分渋沢の言うとおりなのだろう。
彼に励まされ背中を押された僕は明日の朝、彼女に僕も君のことが好きだと返事するこ
とにした。明日までの緊張に耐えられそうになかったので、できれば今日中にメールで返
事をしたかった。渋沢もメールでもいいんじゃね? って言っていたけど、彼女からは明
日の朝返事をするように言われていた僕は、とりあえず緊張に耐えながら彼女の言葉に従
うことにしたのだった。
帰宅すると家には誰もいなかった。両親は今夜も遅いか職場で泊まりなのだろう。もと
もとうちは昔から両親が家にちゃんといる方が珍しいという家庭だった。
僕にとって幸いなことに、最近では珍しく二日間も連続して僕に嫌がらせをしてきた妹
も今夜はまだ帰宅していなかった。多分彼氏と夜遊びでもしているのだろう。妹は両親が
いない夜は家にいる方が珍しいのだ。
そしてそんな妹のことを、僕は余計なトラブルを起こすのが嫌だったから両親に告げ口
とかしたことはなかった。妹がよく言うようにあいつのことは僕とは関係ないのだ。
とりあえず今日は簡単な食事を作って寝てしまおう。僕は明日の朝、ナオの告白に返事
をしなければならない。そんな重大な出来事を抱えて普段のように夜を過ごすことなんか
考えられなかった。実際、今だって胃がしくしく痛むほどのストレスを感じているのだか
ら。
僕は妹がいないことを幸いに、義務的に味すら覚えていないカップ麺だけの食事を済ま
せるとさっさとベッドに入って目をつぶった。
ようやく眠りにつきそうだった僕は、階下でどたんという大きな音が聞こえたせいで目
を覚ましてしまった。
大きな物音に続いてけたたましい笑い声がリビングの方から響いてきた。僕は強く目を
つぶって階下の出来事を無視しようとした。明日は早起きしてナオに告白しなければいけ
ない。こんな夜に階下に下りていくのは心底から嫌だった。少しだけこの騒音を耐えてい
ればすぐに収まるに違いない。僕は無理にもそう思い込もうとした。
父さんと母さんが深夜に帰宅したときは僕たちを起こさないようひっそりと帰宅して、
できるだけ音を立てないようにシャワーを浴びたりしてくれていることを僕は知っていた。
だから階下のこの騒音は夜中に帰ってきた妹に違いないのだ。
階下の騒音を無視することして毛布を頭からかぶろうとしたとき、ポップミュージック
の音が強烈な音量で流れ始めた。ここにいてさえやかましいくらいのボリュームだ。
しばらくして、僕はついにこのまま寝入ることを諦めた。これでは近所の人たちにも迷
惑なほどの音量だったし、このまま放ってはおけない。
階下に下りてリビングに入った僕はまっすぐにオーディオ機器の方に向かい、アンプの
電源をオフにした。突然静まり返ったリビングのソファには、思っていたとおりだらしな
く横たわっている妹の姿があった。
リビングの床には脱ぎ散らかした妹の派手な服が転々と乱れている。当の妹はお気に入
りの音楽を消されて、ソファから起き上がり何か聞き取れない声で怒鳴りながら僕に掴み
かかってきた。
妹の顔が僕のそばに寄ってくると強く酒の匂いがした。やっぱり飲んでいたのだ。
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