過去ログ - 海未「夜の果てへと旅立ったあなたへ」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]
2014/12/01(月) 14:21:32.63 ID:2hBFblv8o
時はめまぐるしく過ぎていきます。
気づけば凛たちも大学を卒業する頃で、
ことりは表参道とフィレンツェのオフィスを往復する日々、
私は会社勤めを続ける傍ら、糖尿病で体を崩した父に代わって家を守る母に付き添い、
やがて親戚筋から跡継ぎの話を持ちかけられるようになります。
あの夜からほんの少しの期間、
私は心療内科のお世話にもなりましたが、
ことりや絵里たちのおかげですぐ立ち直れた、そういうことにしました。
この部屋で夜眠るとあの子の幻を見てしまって、
ことりの家に泊まらせて頂いたこともありました。
そんな夜も、汗水垂らして働くうちに遠のいて、こうして薄まっていくのです。
私たちは一人残らず大人になっていきます。
そんな中、
あの仲睦まじい二人の姿だけが、記憶の中で子どもの姿のまま、
目もくらむほど美しい姿のまま、いまも瞼の裏から離れないのです。
過去は美化され、
遠ざかるほど輝きを増していくようで、
ふらりとそこに倒れ込んでしまうような時だって、今でも、おそらくは。
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