過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/03(水) 01:05:00.10 ID:dm2TomSio

「あ、あの、舞園さん。もしかして僕の事、覚えてくれてたの……?」

気になって仕方がなく、内心期待をしながらそう尋ねる。すると舞園さんは『うんっ!』と、飛び切りの笑顔で頷いてくれた。

「当然じゃないですか! だって、三年間も同じ学校だったんですよ?」
「それはそうだけど……だからと言って同じクラスでもなかったし、僕以外にも生徒は沢山いたのに……。で、でもありがとう。嬉しいよ」

僕の事なんて、絶対覚えてもらえてないと思ってたのに……絶対、一方通行だと思ってたのに。あの舞園さんが、僕の事を……!

「苗木君の方こそ、私の事を覚えてくれてたんですね。嬉しいです」
「そ、それこそ当然だよ。舞園さんは中学の頃から、超が何個もつく程の有名人だったんだから……」
「そ、それは言いすぎじゃないですか? でも、ありがとう御座います。そのお陰で、苗木君にも覚えてもらえてたんですよね」
「う、うん」

頷く僕を見て、舞園さんは『ふふっ』と可愛らしく笑みを零す。舞園さんの笑顔って、反則的に可愛いよな。見ているだけで癒されるよ……。
間近で、それも僕に向けられている物なんだから、その効果も絶大だ。
話しかけられたのはいいとして、会話が続くかどうか心配だったけど……ちゃんと問題なく出来てると思う。
何だか、まるで中学時代が嘘みたいだ。気分が自然と高まっていくのを感じる。

「それにしても、本当に嬉しいよ。舞園さんに覚えてもらえてたなんてさ」
「もう、大袈裟ですよ?」
「ううん、そんな事ないって。だって舞園さんみたいな人気者は、僕みたいな目立たない奴の事なんか、気に留まらないと思ってたから……」
「え……」

……と、僕が何気なくそう言うと、舞園さんは表情に曇りを見せる。

「私、そんな冷たい人間だと思われてたんですか……?」
「へ? あ、い、いや……!」
「うう、ショックです……」

それから悲しそうに呟きながら、両手で顔を覆い俯いてしまった。僕は思わず動揺し、咄嗟に頭を下げて謝る。

「ご、ごめん! 別に、そんなつもりじゃ……!」

ど、どうしよう。不本意とは言え、舞園さんを傷つけてしまった。話し始めてまだ間もないっていうのに、僕はなんて事を……!
さっきまでの浮かれ気分は一転して、頭の中はどうしたら許してもらえるかと、その事で一杯になっていた。

「……ふふっ、ふふふふ……」

……と、そんな風に焦っていると、突然頭上から舞園さんの笑い声が聞こえ始める。

「じょーだんですっ!」
「……え?」

続いて耳に届いたのは、朗らかな声音によるそんな言葉だった。
思わず顔を上げてみると、舞園さんは両手を顔の左右に広げて、満面の笑みを僕に向けていた。ショックを受けている様子は微塵も見受けられない。
……どうやら、さっきのは本当に冗談だったみたいだ。固まっていた僕の全身から力が抜けていく……。

「も、もう。舞園さん、からかわないでよ……」
「ふふ、うふふふっ……」

ほっと胸を撫で下ろす僕を前に、舞園さんは透き通るような声で嬉しそうに笑い続けた。その姿に自然と僕の頬も緩む。
舞園さんが僕の事を覚えてくれていて、こんな表情まで見せてくれるなんて……まるで夢みたいだ。でも、夢じゃないんだよな……!


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