16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/03(水) 22:31:19.28 ID:dm2TomSio
「それにしても、本当にすごかったですね。まさか敷地内にショッピングセンターまであるなんて、思ってもいませんでした」
「政府公認の施設、って言うだけあるよね……感動せずにはいられなかったよ」
希望ヶ峰学園の南地区に建てられてある、全生徒が利用する大規模な寄宿舎。僕はその建物内を自分の部屋に向かって、舞園さんと肩を並べて歩いていた。
――あれから八時になると学園長自らがホールへとやって来て、軽い挨拶の後、僕達はその場で入学式の流れの説明を受けた。
学園長は『霧切仁』というハンサムな男性で、見た感じ三十台後半と学園長としてはかなり若いと思う。
こんな学園の一番偉い人となると、やっぱり老人なんじゃないか……僕は勝手にそう推測してたから、不意を突かれて少しびっくりした。
ちなみにその学園長は新入生の一人である、霧切響子――霧切さんのお父さんらしく、『霧切仁』と名前を名乗った直後に、僕を含む大半の生徒が霧切さんの方へと顔を向けていた。
その時は単に苗字が一緒なだけなんじゃないかと思ったんだけど、後で朝日奈さんが霧切さんに尋ねた所、お父さんだと判明したんだ。
……ただ、霧切さんの反応を見た限りだと、どうも仲は良くなさそうに思える。詮索する訳にはいかないけど、何か色々事情があったりするのかな……。
学園長から説明を受けた後は、体育館へ向かってそこで入学式が執り行われた。学園長式辞や来賓祝辞に国歌斉唱など、滞りなくスムーズに進んだと思う。
式の形式こそ他の高校と大差こそなかったけど、来賓者のレベルにおいてはやはりと言うか一線を画していた。まさか、あんなお偉いさんが招かれてるなんて……流石、政府公認の超特権的な学園。
ただでさえそれなりに緊張していたのに、僕の身体は余計に強張ってしまった。
そんなこんなで式が無事に終わると、僕達は教室に移動して、あらかじめ割り当てられていた席にそれぞれ座った。僕と舞園さんは何と隣同士で、舞園さんは喜びながら僕の両手をぎゅっと握ってきた。
中学の頃に一度は憧れた、同じクラスでの隣の席。それが実現する日が来るなんて……。隣同士ならわざわざ席を立って移動しなくても、座ったままお喋りだって出来るんだよな。
消しゴムなんかの貸し借りだとか、宿題を確認し合ったりとか、そう言った事だって。想像するだけでも楽しそうだ……。
それから最初のホームルームが行われ、既にホールである程度済ませてた自己紹介を、改めて正式に行う事になった。
石丸君みたいに色々と語る人もいれば、十神君のようにごくごく手短に済ませる人もいたり。自己紹介って、少なからずその人の性格が表れるよな……。
ちなみに僕がした自己紹介は、名前や出身地に好きな食べ物、その後によろしくお願いします……と、やっぱり至って普通な物だった。
男子は石丸清多夏君、大和田紋土君、桑田怜恩君、十神白夜君、葉隠康比呂君、山田一二三君。
女子は朝日奈葵さん、戦刃むくろさん、江ノ島盾子さん、大神さくらさん、霧切響子さん、セレスティア・ルーデンベルクさん、腐川冬子さん、不二咲千尋さん、そして舞園さん。
以上の十五人が、これから一緒の教室で学園生活を送っていく僕のクラスメイトだ。見ての通り男子が僕を含め七人で女子が九人と、女子の方が多かったりする。
何だか個性が強そうな人達ばかりだけど……出来たら全員と仲良くしていきたい。
その後はプリントや学生証、電子生徒手帳などが各自に配られた。電子生徒手帳は希望ヶ峰学園特有の情報端末との事で、様々な機能を備えている高性能な端末らしい。
何でもIDとしての役割もあるらしく、これを呈示しないと利用できない施設もあるんだとか。なくさないよう、肌身離さず持ってないとな……。
ちなみに制服や体操服、それから教科書類といった物は、寄宿舎の各部屋に既に運ばれているらしい。入学前に学園側が運んでくれた自宅からの持ち込み品も、もちろん部屋に置かれているとの事。
受け取る物を受け取った後は、プリントを見ながら様々な話を聞いた。一年を通しての年間行事や明日からの授業日程、敷地内の区分についてや全施設の簡潔な説明などなど。
北地区、東地区、南地区、西地区にそれぞれ区分されてるみたいで、僕達が今いるこの校舎がある場所は東地区に該当するらしい。
敷地内の中央には中央広場もあって、寄宿舎まで来る際に実際に足を踏み入れたんだけど、木々が生い茂って噴水も設置されていたりと、広い公園のような場所だった。
ただ、この中央広場と東地区にいられるのは夜十時までらしい。それから朝の七時までは、備え付けの鉄柵が閉じられて進入出来なくなるみたいだ。
話が終わった後は教室で記念撮影を行い(ちなみに、舞園さんは僕の隣にきてくれた)、東地区から南地区へと移動した。
僕が今いる寄宿舎はこの地区にあり、他にはコンビニ・本屋・ショッピングセンターなど、様々な商業施設が併設されている。
つまりわざわざ学園の外に出なくても、生活に必要な物を揃えられるという事だ。前の夕闇高校や他の高校とはあまりにも違いすぎて、感嘆の溜め息が何度も出てしまった。
ゲームショップもあるみたいだし、新しいゲームはここで買う事になりそうだ。
そうして寄宿舎へと辿り着くと、生活上の注意事項や設備の説明を受けた。食事の開始時間や大浴場の入浴時間、貴重品を保管するロッカーやランドリーの利用について、などなど。
ちなみに言っておくと寄宿舎の利用料は無料で、母さんはそれを知った時『至れり尽せりね』なんて言ってたっけ。まあ、実際その通りだよな……。この待遇は正にその表現がぴったり当て嵌まる。
……と、長々と語っちゃったけど、あの後からの経緯はそんな感じだ。寄宿舎での説明を受けた後、最後にルームキーを各々手渡され――そこでようやく解散となった。
その後暫く皆と話を交わして(十神君と腐川さんは早々に部屋に行ったけど)、それから今に至るという訳だ。
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