過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga]
2014/12/01(月) 23:16:17.90 ID:9VvkdQfu0

「んーっ……」

 カーテンの隙間から漏れた日差しを受けて目を覚まし、横になったまま寝起きの身体をぐーっ
と大きく伸ばす。続いてゆっくりと起き上がると、僕は目をぱちぱちと何度か瞬かせた。昨夜は
早く眠りについたお陰か、普段のように大きな欠伸が出るなんて事もない。目覚めは実に爽快だ。
何だか今日一日は、不思議と何でも上手く行きそうな気がする。まあ、実際はそんな事は全然な
いんだろうけど……それでも、気分がいいに越した事はないよな。
 ベッドから降りて立ち上がると、窓まで歩み寄ってカーテンを全開にした。温かい春の日差し
が、僕の全身をぽかぽかと照らす。昨日に負けないくらい、気持ちのいい朝だ。まるで新しい門
出を迎えた僕を、祝福しているようにも感じられる――。

(……今日から、本格的に学園生活が始まるんだよな)

 振り向いてからざっと見渡したこの部屋は、僕の部屋と言えば僕の部屋なんだけど、決して住
み慣れた実家の部屋じゃない。ここはとある学園の敷地内にある寄宿舎の一室で、これから僕が
新しく生活を送っていく場所なんだ。……そう。新しい門出、新しい生活。
 ――私立、希望ヶ峰学園。東京のど真ん中にある、他の高校とは一線を画す政府公認の超特権
的な学園。入学希望者の募集はしておらず、学園自らが超一流の才能を持った高校生を全国から
スカウトして、その才能の育成や研究を日々行っている。そんなとんでもなくすごい学園に、僕
も昨日無事に入学を果たしたんだ。まあ、僕が入学出来たのは『運』のお陰なんだけど……。そ
れでも、入学出来た事に変わりはないんだ。だから、出来うる限りの力を以って頑張っていきた
い。個性豊かなクラスの皆と……そして、再会を果たした『彼女』と。

「もう起きてる……かな?」

 窓枠に背中を預けてそう呟きながら、横の壁に視線を移す。規則正しい彼女の事だから、僕よ
り早く目を覚ましてるのかもしれない。
 ……会えるのをずっと心待ちにしていた彼女との再会だけど、それは残念ながら情けない形で
の物となってしまった。ハンカチを拾ってあげた相手がその人だったとか、不良に絡まれてる所
を助けてあげたとか、決してそんなかっこいい展開なんかじゃない。寧ろ、誰が聞いてもかっこ
悪いと感想を抱くような物だったと思う。実際、家族に話したら案の定笑われちゃったし……。
 けど、別にそれでも構わない。だって、例えかっこ悪くても――僕達の再会がドラマチックだ
ったと言う事に、何ら変わりはないんだから。



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