過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/03(水) 22:39:56.84 ID:dm2TomSio

だけど見るだけで何かを言い出す訳でもなく、僕達はすぐ近くにある収納棚の方へと足を進ませた。
とは言え棚自体にこれといった特徴はなく、僕達の関心は自然と上に乗せられている制服などに向けられる。

「これが希望ヶ峰学園の制服だね。ブレザーなんだ」

厚いビニールに包装された焦げ茶色のブレザーを手に取る。他には同じく焦げ茶色のスラックスが夏用と冬用、そのスラックス用のベルト。
他には長袖と半袖の真っ白なカッターシャツが数着ずつ、真っ赤なネクタイ、クリーム色のベスト、体操服と紺色のジャージが上下共に数着ずつ、学園指定のバッグ……など、色々と置かれていた。
夕闇高校の制服はこの通り真っ黒の学ランだったから、何だか新鮮な感じがする。けど、いかにも名門校の制服って感じだな……。僕が着ても服に着せられる事になりそうだ。

「女子のは所々違うんでしょうけど、大体は同じなんでしょうね。制服自体は今着てる方が好みなんですけど、希望ヶ峰学園の制服もシックな感じで悪くないと思います」
「舞園さんなら、希望ヶ峰学園の制服もよく似合いそうだね」
「うふふ、ありがとう御座います。苗木君もよく似合いそうですし、明日のお披露目が楽しみですよ」
「ぼ、僕は全然似合わないと思うけど……」
「ううん、きっと似合いますよ。今の学ランだって、よく似合ってますから」
「そ、そう? ありがとう……」

舞園さんに褒められると、普通の何倍も嬉しいな……。楽しみにしてもらってると分かると、早くこの希望ヶ峰学園の制服を着たくなってきた。

「そう言えば、制服に着用義務はないって言ってましたね。セレスさん辺りは着ないような気がします」
「あの服、同じの何着も持ってるって言ってたしね。恐らく、あれを制服代わりに着てくるんじゃないかな……」
「確かゴスロリ衣装、って言うんでしたよね。でも私、初めて見た時は舞台衣装かなって思っちゃいました」
「はは、見えなくもないかも」

新入生の中だと、舞園さんや大神さんを除けば、セレスさんは取り分け僕の目を引いていた。あの衣装の時点でそうだけど、何より名前が……。
外国人にしては日本語がえらい流暢だったし、やっぱり日本人……だよな? そうなると、やっぱりあれは偽名なんだろうか。うーん……謎だ。

それから山積みになった教科書を、お互い適当にパラパラと捲る。舞園さんや皆と楽しく学校生活を送る為にも、授業についていけるようにしないと。
……舞園さんは僕より頭がいいだろうし、もしかすると教えてもらえたりするんだろうか。
少なからず憧れてたシチュエーションだけど……まあ、出来る事なら教えてもらわなくても済むくらい、勉強が出来るようになった方がいいよな。

「あのドアの向こうがシャワールーム、ですよね?」
「だろうね。覗いてみよっか」

僕達が最後に向かったのは、部屋の一角に備えつけてあるシャワールームだ。ドアを開き、一緒に入口から中を窺う。

「わあ、ガラス張りになってますね。まるでホテルみたいです」
「これをいつでも使えるって言うんだから、流石としか言いようがないよね……」

舞園さんも言ってる通り、備えつけのシャワールームは、まるでホテルに来てるかのような錯覚を起こさせた。
入って左には大理石造りの洗面台と大きな対面鏡があり、分厚いガラスで出来た仕切りとドアの向こうには、高級感を漂わせているトイレとシャワーユニットがある。
シャワーの側のホルダーにシャンプーらしき物が置かれてるけど、あれもきっと高級なんだろうな……。

「でも、基本的には大浴場を利用する事になりそうかな。やっぱりお湯に浸かりたいし」
「私もです。お湯に浸かった方が疲れも取れますもんね」
「う、うん」

何気なく返された言葉に、僕はぎこちなく頷く。……同じ言葉でも、舞園さんが言うとどうしても強く意識してしまう。
やがてその意識は想像となり、頭の中に湯気を漂わせた舞園さんの入浴姿がほわほわと――

(……って、駄目だ駄目だ!)

ほんの一瞬浮かんだ煩悩を、すぐさま頭を振って振り払う。な、何を考えてるんだ僕は。すぐ側に舞園さんがいるのに、にゅ、入浴姿を想像しようとするなんて……! 

「どうしたんですか?」
「あ、い、いや、何でも……!」
「……? ふふ、変な苗木君っ」

慌てる僕を見て、くすくすとおかしそうに笑う舞園さん。……ホント、何度見ても癒される笑顔だ。純粋無垢とか天真爛漫とか、そんな言葉がすごく似合う……。

(けど、これ以上シャワールームを見てると、また色々と想像しかねないな……)
「あ、もう閉めても大丈夫ですよ。充分見ましたから」
「あ、うん」

なんて思っていると舞園さんがそう言ってくれて、僕はシャワールームのドアをぱたんと閉じた。ずっと見続けていたら、今度はシャワーを浴びてる所を想像しちゃってたかも……。


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