過去ログ - 「恋を教えて」
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3: ◆NKLpmDNl12[saga]
2014/12/02(火) 22:13:21.02 ID:ZpbmKY/Z0
「付き合ってください」
私は忘れ物を取りに来ただけだったのに、どうしてこんな場面に遭遇するんだろう。告白する女の子の声は高くていかにも男の子が好きそうな声だ。

「ごめんなさい、でも、ありがとう」

私は心臓がものすごい勢いで跳ねたのを感じた。あの子だ。あの子が女の子からの告白を断っているということなのか。
正直に言うと、予想はしていた。女の子のファンも多そうだ。しかし共学という手前、変に噂にならないように黙っていただけなのだろう。
しばらくして告白した子が教室から出てきた。泣いてはいなかった。教室から出てきたとき目が合って、一瞬だけしまったという表情をした。私が何も言わず目を瞑ると、その子は廊下を走ってどこかへ行った。
教室の中からは小さなため息が聞こえた。こちらに歩いてくる音が聞こえる。私は立ち去ろうとしたが、この短時間でその子の視界から消えるまで移動するのは無理だ。

「あれ、人いたんだ…もしかして、聞いてた?」
教室のドアを開けると彼女はそう言う。私は嘘もつけず、頷くしかなかった。
「そっかーたまにこういうことあるんだよね…」



「きみに聞かれてたから、明日には陰でまた色々言われるのかな?」
心臓がまた早く動き始めた。この子は私が陰に回って話をしていたことを知っている。ハッとして視線を上げたら、その子は含み笑いをしていて、読めない。
違うと言うだけで精一杯だった。声が震えている。
「私はもう、貴女のことを色々言うことはやめた」
「どうして?」
貴女に興味が出てきたからだと言えるはずがない。
「貴女のことを言っても世界は何も変わらないし、時間の無駄」
「ぷっ…なにその理由!」
からから笑う彼女に私も不思議と嫌な気はしなかった。笑みさえ溢れてきた。だから私は油断した。

「一番の理由は…貴女に興味があるから、かもしれない」
「興味? いまさっきの子みたいな?」

この人にとっては、恋も好奇心も同じものなんだろうか。そう考えると少しさっきの子が可哀想だ。


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