7: ◆NKLpmDNl12[saga]
2014/12/02(火) 22:16:13.35 ID:ZpbmKY/Z0
「ごめん、遅くなった!」
「いいよ、試合って聞いてたし、私もさっききたとこ」
「いこ!」
「なんか嬉しそうだけど、試合勝ったの?」
「負けちゃった!」
でもこれが楽しみだったから、というその子に不覚にも嬉しいと思ってしまった。今回の相手は、そこまで強くないと言っていた気がするけれど、試合ゆえに流れが狂うこともあるのかもしれない。
それからジェットコースターに乗って、おばけ屋敷に行ったが、その子が無理やり怖いものに総当たりしていることを気づくのに時間はかからなかった。
「もう、怖いなら別にいいんだよ」
「叫んで忘れたいこともあるんだよ…」
「試合のことだよね」
「……」
その子は黙った。多分図星だ。私は無言で立ち上がった。
「はい、これ」
「…クリームソーダ?」
「なんのために遊園地来たの?そういうこと忘れるための場所じゃん」
「……そうだね、遊ぼうっと」
それから、なぜかその子はジェットコースターだけを徹底的に乗りつぶした。最初は本気で怖がっていたが、慣れてくると叫び方にも余裕が出てきたようだった。
あたりはすっかり夜になった。本当なら、私たちは帰らなければいけない時間のはずだ。でも、そんな気は起きなかった。
「…観覧車、乗ろ」
私が口を開く前に、その子から誘いがかかった。私が見た雑誌が頭の中に蘇る。
乗ると、私たちの前後のゴンドラは男女カップルばかりだった。
私たちのゴンドラが中腹に差し掛かったとき、私は外を見ていた。恋を教えて欲しいというその子とは裏腹に、下はカップルだらけだ。あの人たちはどうやって付き合ったんだろう。私も不思議に思っていた。
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