過去ログ - 「恋を教えて」
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8: ◆NKLpmDNl12[saga]
2014/12/02(火) 22:16:51.72 ID:ZpbmKY/Z0
「これが普通のデート…なんだ」
その子を見ると、同じように下の人混みを見つめていた。
「恋したら、こういうふうに過ごすんだ…」
また、その子の表情からは感情が読み取れない。
「それなら、私はあの男の子に恋してたのかも」
私はなんと声をかけていいか分からなかった。出てきた言葉が意外で、頭が回っていなかった。
「こんな気持ちになるのが恋なら、たぶんあれは恋だったんだよ。私、嬉しかったんだなー…」
目的達成? と聞くと、その子は俯いた。目的は、達成したかもね、そう言うと、私の隣に座った。ゴンドラが少し揺れた。
「でも、こんな気持ちにしたのはきみだから。私がこんな気持ちになったのは、今が初めてなんだよ」

それを言い終わったと同時に、その子は私の頬に手を添えてーー。



何時になったんだろう。時刻を告げる鐘の音が、遠くに聞こえる。その音が止むまで、私は唇に熱さを感じていた。
「これは、お礼、かな」
しどろもどろになっているその子が可愛くて、私は吹き出してしまった。
「ひどいなー」
「ごめん」
そう言って次は私がその子の唇を奪った。瞬間、声を漏らす彼女、自分からしてきたくせに、されるのは慣れないらしい。それを口にすると、ムキになって強引に抱きしめてきた。
冷静な私と裏腹に、彼女はすこし息が上がっていた。うなじを伝う汗が、外のイルミネーションに反射して見えた。それを指でなぞると、彼女は震えて情けない声を出した。
「…こんなことされたことないの」
「…ないなー」
「恋イコールセックスって言ったあれは?」
「セックスは…した」
たぶん、淡白なセックスをする男の子だったのだと思う。そんなことを思っていた。

「私がはずかしくて、いやだって言った、首とか、恥ずかしい」
そう言って私の指が触れたところを手で押さえる姿に私はもう一度キスをした。
私には見せてもいいんだ、と言うと彼女はだまって俯いた。

それからは触れるだけのキスをなんどもして、気付いたら下りる時間だった。キスをしてからの時間は、すごく長かったように感じたが、観覧車の時間は10分くらいしかなかった。

「私は、きみに興味がでてきた。私をどうしてこんなふうにしたのか」
帰り際、手をつないで彼女が言った。言葉は深刻そうなのに、本当に興味があるだけといった風に言う。
「きみは、まだ私に興味があるの…かな?」

「私は貴女にーー」
風でかき消されたようだけど、彼女には聞こえたみたいで、また少しだけ、触れるだけのキスをした。


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