過去ログ - 【小ネタ版】幻想にのたうち給う【幻想入り】
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10: ◆eohhG1Orlc[saga]
2014/12/04(木) 02:34:52.11 ID:G2ivB1fDo




――ぴちゃり、ぴちゃり、ぴちゃり。

 粘膜質な水音が暗闇の中で嫌に大きく響いた。

 私は微睡む意識の中で、その音を聞き続ける。

――ぴちゃり、ぴちゃり、ぴちゃり。

 鈍くなった感覚の中で、嫌にその音が大きく聞こえた。痺れた舌に、何かが絡みついている。

 息苦しいが、嫌な感覚ではない。否、脳を痺れさせる様なこの感覚に、不覚にも快楽さえ覚えている。

「ん、む、ちゅ……」

 誰かの艶めかしい声が漏れた。そして、湿った音は続いていく。

 何秒か、何分か、何時間か。私の意識が覚醒していく最中で、漸く誰かと唇を重ねている事に気付いた。

「あら、やっとのお目覚めかしら? ふふ、流石に私の力には抗えなかったようね」

「おじょう、さま……?」

 ぼんやりとしていた視界がハッキリとした映像に変わっていく。そのシルエットがフランに見えたというのに、私は『迷いなく』お嬢様と口にした。

 未だに頭は惚けている。痺れる様に、蕩けている。長い眠りから覚めた時の様な、波の満ち引きの如く意識が遠のいては近付いている。

 夢の中の様な、浮遊感。

 彼女の瞳が、妖しく輝いている様に思えた。




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