過去ログ - 五十嵐響子「ハートフルレインボー」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:07:21.01 ID:QwkCWyfY0
※アイドルマスターシンデレラガールズの五十嵐響子ちゃんが主役のSSです
※前半が地の文+会話文、後半が会話文です
※初SSです
※書き貯め有り
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:08:53.93 ID:QwkCWyfY0
ちひろ「それでは今回のCDデビューが決定したアイドルを紹介します!」
ちひろ「今回キュートプロダクションからCDデビューを果たすのは……宮本フレデリカちゃんです」
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:09:32.99 ID:QwkCWyfY0
もう何度目になるだろう。
脳の芯から熱が引いていく様な不思議な感覚。今度こそはという微かな期待が音をたてて崩れていった。
ぼうっと瞳の端に映る彼女の顔は、いつものような楽しそうな顔ではなく今までに見たことのない驚きの表情へと変わっていた。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:24:49.82 ID:O387eX4y0
仲間のCDデビューが決まったのだし、お祝いしてあげなくちゃ。
頭ではそう思っていても体と心は言うことを聞いてくれない。
彼女の周りには大きな人だかりが出来てお祝いの言葉が満ち溢れていた。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:27:50.21 ID:O387eX4y0
事務所の仲間や芸能界の知り合いの人からは「次のデビューはキミだろうね」「キミのCDが聞けるのを楽しみにしているよ」という言葉を何度も聞いてきた。
キュート・クール・パッションプロダクションの3つのプロダクション合同企画であるアイドル総選挙でも、200人近くいるアイドルの中で50位以内には入っていたし、一番最近開催されたものでは24位という順位にランクインできた。
しかし、一年経っても二年経っても未だに私のCDデビューの夢は叶っていない。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:30:25.02 ID:O387eX4y0
しかし、私はまたしてもデビューするアイドルに選ばれることはなかった。
それどころか、事務所に後から入ってきた子に先にデビューを越されてしまっている。
この世界は実力社会。入った順番など関係ないのは理解しているが、それでも先にデビューされてしまった悔しさはある。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:31:58.73 ID:O387eX4y0
響子「フレデリカさん。デビューおめでとうございます」
フレデリカ「響子、ありがとー」
そう言った彼女の顔はとても嬉しそうだった。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:34:07.86 ID:O387eX4y0
ふう。ようやく人垣を抜けだして一息つくことができた。
そのとき、後ろから急に声をかけられた。
P 「響子」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:36:32.60 ID:O387eX4y0
響子「Pさんのせいじゃありません。私の努力が足りなかったんです。でも、次こそはデビューするためにもっともっとレッスン頑張って、ファンのみんなのハートを捕まえちゃいますよ!」
そう言って私は両手に握り拳を作ってガッツポーズをしてみせた。
しかし、Pさんの顔色は一向に良くならず、むしろ沈痛さが増していた。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:38:35.91 ID:O387eX4y0
響子「あの、Pさん?」
P 「響子、ちょっと外に行って話そうか。飲み物でも買っていこう。なにがいい?」
響子「じゃあ、暖かいミルクティーをお願いします」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:47:23.98 ID:O387eX4y0
11月の夜空は、ビルの屋上ということもあってか思った以上に肌寒かった。
P 「今日は一段と冷えるな。これ着といて」
Pさんが自分のスーツの上着を私に貸してくれる。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:48:26.97 ID:O387eX4y0
響子「ありがとうございます。でも、Pさんは寒くないんですか?」
P 「俺はほら、響子がいつも気を使ってくれてるからここ最近凄い体調がいいんだ」
だから大丈夫と言って缶コーヒーをちびちび飲んでいた。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:49:42.04 ID:O387eX4y0
P 「響子。自分の名前が呼ばれなかったとき、どう思った?」
響子「えっと…残念でしたけど、同じ事務所の他の子がデビュー出来るのは凄く嬉しいって思いました!」
P 「それは本心か?」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:52:37.18 ID:O387eX4y0
響子「そんなことは…」
P 「ここは俺以外誰もいない。ここならいくらでもお前の本心を、言いたいことを言ってもいいんだ」
響子「本心なんて…嫌だなぁ。私は全然そんなの…」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:53:45.80 ID:O387eX4y0
響子「私…今回こそは…。今回こそはCDデビュー出来るんじゃないかって心のどこかで思ってました。いろんな人たちからそろそろCDデビュー出来るよって言われて。自分もすっかりその気になって。CDデビュー決まったらPさんほめてくれるかな?とか、親と友達になんて連絡しようとかそんなことまで考えて…。でも、結果は知っての通り。笑っちゃいますよね。あはは…」
力の抜けた笑いと虚無感が襲ってくる。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:59:40.21 ID:O387eX4y0
響子「本当は悔しいです。私がデビューしたかった。でも、今思えばそうやって結果が出ていないのに油断していたのが悪かったんだと思います。心のどこかで傲慢になっていたんです。ファンのみんなのことじゃなくて、自分のことで頭がいっぱいになるなんてアイドル失格ですね」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 02:00:52.88 ID:O387eX4y0
Pさんは私の言葉を静かに聞いた後、缶コーヒーをぐいっと飲み干してから静かに話しだしました。
P 「俺も正直なところ響子は今回でデビュー出来ると思っていた。総選挙の順位も良かったし、ライブの主役も務めた。それに、今やっている料理番組の評判も上々だしこないだ出演した映画でも新たなファン層を獲得できたしライブも毎回大盛況だからな。これだけのことをしてきたのがから、響子が今回のメンバーに選ばれることに俺も一片の疑いも持っていなかった」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/12/05(金) 09:24:31.42 ID:QwkCWyfY0
なにがダメだっんだろうな…とPさんが空に向かって呟く。
私も何も答えられず、2人とも黙って空を見上げていた。
夜空を見上げて少し経ってから、Pさんが唐突にこんなことを言い出した。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/12/05(金) 09:25:34.16 ID:QwkCWyfY0
P 「折角の機会だし、今まで一緒にやってきた仕事を振り返ってみないか?」
響子「突然どうしたんですか?」
P 「よくよく考えたらこうやってゆっくり話すのも久しぶりだしな。響子が今までの仕事をどう思っていたかとか聞いてみたいんだ」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/12/05(金) 09:26:03.41 ID:QwkCWyfY0
P 「よし。じゃあ、まずは最初に会った時のこと覚えてるか?」
響子「もちろんです。この事務所にオーディションを受けにきたときに面接してくれたのがPさんでしたよね」
P 「そうだったな。あのときオーディション受けに来ていた子は沢山いたけど、俺は響子を一目見た瞬間にこの子だ!ってビビっと来たのを覚えているよ」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/12/05(金) 09:27:01.52 ID:QwkCWyfY0
P 「響子は最初に会ったときから変わってないよな。どこまでも世話焼きで、仕事場でも積極的にスタッフさんを手伝って。響子の現場はいつも明るくて楽しいってよく褒められるよ」
響子「えへへ…。Pさんが私の為にとってきてくれた仕事、現場を見てくれているって考えたらどんな仕事でも楽しく頑張れちゃうんです!」
P 「やっぱり響子は良い子だな。最初の仕事は覚えているか?」
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