過去ログ - 五十嵐響子「ハートフルレインボー」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:30:25.02 ID:O387eX4y0
しかし、私はまたしてもデビューするアイドルに選ばれることはなかった。

それどころか、事務所に後から入ってきた子に先にデビューを越されてしまっている。

この世界は実力社会。入った順番など関係ないのは理解しているが、それでも先にデビューされてしまった悔しさはある。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:31:58.73 ID:O387eX4y0
響子「フレデリカさん。デビューおめでとうございます」

フレデリカ「響子、ありがとー」
そう言った彼女の顔はとても嬉しそうだった。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:34:07.86 ID:O387eX4y0
ふう。ようやく人垣を抜けだして一息つくことができた。

そのとき、後ろから急に声をかけられた。

P  「響子」
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:36:32.60 ID:O387eX4y0
響子「Pさんのせいじゃありません。私の努力が足りなかったんです。でも、次こそはデビューするためにもっともっとレッスン頑張って、ファンのみんなのハートを捕まえちゃいますよ!」
そう言って私は両手に握り拳を作ってガッツポーズをしてみせた。

しかし、Pさんの顔色は一向に良くならず、むしろ沈痛さが増していた。


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:38:35.91 ID:O387eX4y0
響子「あの、Pさん?」

P  「響子、ちょっと外に行って話そうか。飲み物でも買っていこう。なにがいい?」

響子「じゃあ、暖かいミルクティーをお願いします」
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:47:23.98 ID:O387eX4y0
11月の夜空は、ビルの屋上ということもあってか思った以上に肌寒かった。

P  「今日は一段と冷えるな。これ着といて」

Pさんが自分のスーツの上着を私に貸してくれる。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:48:26.97 ID:O387eX4y0
響子「ありがとうございます。でも、Pさんは寒くないんですか?」

P  「俺はほら、響子がいつも気を使ってくれてるからここ最近凄い体調がいいんだ」
だから大丈夫と言って缶コーヒーをちびちび飲んでいた。

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:49:42.04 ID:O387eX4y0
P  「響子。自分の名前が呼ばれなかったとき、どう思った?」

響子「えっと…残念でしたけど、同じ事務所の他の子がデビュー出来るのは凄く嬉しいって思いました!」

P  「それは本心か?」
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:52:37.18 ID:O387eX4y0
響子「そんなことは…」

P  「ここは俺以外誰もいない。ここならいくらでもお前の本心を、言いたいことを言ってもいいんだ」

響子「本心なんて…嫌だなぁ。私は全然そんなの…」
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:53:45.80 ID:O387eX4y0
響子「私…今回こそは…。今回こそはCDデビュー出来るんじゃないかって心のどこかで思ってました。いろんな人たちからそろそろCDデビュー出来るよって言われて。自分もすっかりその気になって。CDデビュー決まったらPさんほめてくれるかな?とか、親と友達になんて連絡しようとかそんなことまで考えて…。でも、結果は知っての通り。笑っちゃいますよね。あはは…」
力の抜けた笑いと虚無感が襲ってくる。


16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/12/05(金) 01:59:40.21 ID:O387eX4y0
響子「本当は悔しいです。私がデビューしたかった。でも、今思えばそうやって結果が出ていないのに油断していたのが悪かったんだと思います。心のどこかで傲慢になっていたんです。ファンのみんなのことじゃなくて、自分のことで頭がいっぱいになるなんてアイドル失格ですね」


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