117: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/12/06(土) 21:37:06.50 ID:rQSpFBW+o
弓鳴りが静寂を塗りたくる。
桃色の閃光がマミを射抜くために噴き出した。
マミは紙一重で体を翻して直撃を避ける。
攻勢は一撃で止まるはずもなく、桃色の流星が降り注ぐ。
ただの一言たりとも言葉を発さずに、直立した状態から弦を引き、矢を放つ。
まるで何年も、何十年もそうやって生きてきたのだと錯覚させるほど洗練されて自然な動きだ。
繰り返し、繰り返し。狙いをつけて矢を放つ。
戦場が静かに揺蕩う。
まどかの持つ圧倒的な才能が戦いの音を塗りつぶし、静寂だけを作り出す。
(なんて、正確で鋭いのかしら。密度も桁外れ、おまけに魔力追尾による補正までついてるわね。よもやこれほどとは思わなかったわ)
粛々とマミを睨み、狙いをつけて弓を引く。
迷いなく、一部の隙も容赦もない。
その弓は相手を殺すために引き絞られて、その矢は相手を射殺すために射出される。
少女の本来持っていた才能が、資質が、何よりその強さが、彼女を飲み込んで深淵へと引きずり落とす。
相手を狙い打ちながら、まどかは相手に自分を重ねる。
こちらの攻撃を紙一重で躱し続けながら、虎視眈眈と反撃の機会を作ろうとしているマミの姿は、どこからどう見ても自分そのものだ。
まどかはすとんと納得する。
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