21: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 16:52:33.63 ID:x2ueaAjJo
★◎
鬱屈なため息を吐きだして、壊れた少女は今へと戻る。
黒く塗り上げられた世界の中核をその手に握り、拾い上げる。
それを見つめる瞳に映るのは何色なのか。込めた視線の意味合いは本人にすら区別がつかない。
明るく、闇を撫でる風が吹く。
煽られて何かが空を舞う。ただ、そこに姿は無かった。
「どちら様かしら。何か私に用でもあるの?」
薄く笑い、振り向いた先には対極の色調を持つ二人が立っている。
近代的な街並みに、幾何学的な遊具の揃った公園。
子供が遊ぶには些か不向きであろうその空間の中で、三人は出会ってしまった。
「初めまして、見滝原の昏き守護者さん」
純白のドレスに身を包んだ背の高い少女は頭を下げる。
その所作からは過ぎるほどに馴染んだ匂いが窺える。
彼女の隣では漆黒の少女が刃を構え、場を見守る。
「あら、また二の名が増えちゃったわ。うん、なんだかしっくりくる感じがそれっぽくていいわね」
「気に入った様なら何よりです」
「それに、私に尋ねてくるなんて初めてだわ。逃げられたことなら何度でもあるんだけれど、ね」
「なんと、そんな麗しい美目をしているというのに、見る目の無い方々ですね」
「本当よねぇ」
束の間の沈黙が静寂を呼び込む。
笑い話という牽制は、立ち位置を計算するには不明瞭さが大きかった。
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