28: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 17:02:20.00 ID:x2ueaAjJo
  
  思索、想像。 
  
  手掛かりが足りない。が、類推する。 
  読んだ記事の信憑性については疑問が残るところだが、 
 彼女が飢えを経験したことがあるのは間違い用の無い事実として捉えて差し支えは無いはずだ。 
  
  なるほど、と少女は一人納得を示す。 
  恐らく願いは、「少しでいい、耳を傾けてほしい」といったものだろう。 
  この願いならば、固有の幻惑魔法の性質、意識の制御、誘導とも合致してくれる。 
  
  気になるのは三日というタイムラグの方だった。 
  
  絶望に身を落とすにしては時間がかかり過ぎているし、 
 何より魔女になったのだとしたら、佐倉杏子の遺体が発見される可能性などゼロだ。 
  
  だとすれば、何か外部からの介入があった見るべきだろう。 
  外部からの介入、区切りを入れて少女は思案を継続する。 
  どのタイミングで、どのように? 
  
  一番濃い線は通報者の少女、そのはずだ。 
  だとすれば、それは『あの少女』なのかもしれない。 
  
  佐倉杏子が魔女に負ける現場に、もしくは敵対している魔法少女に殺される現場に居合わせた。 
  そういう風に考えるのが、妥当かも。 
  
  少女はそう結論づける。 
  
 「ほーむらっ、あたしら帰るけど、あんたはどうすんの? 一緒する?」 
  
 「そうね、私も帰るわ。丁度、こっちの用事も終わったところなの」 
  
 「ほんとう!? だったら、明日は帰りにどこかによって行こうよ」 
  
 「いいわね、楽しみだわ。ここのところずっと活字漬けだったから、甘いものが食べたいと思っていたのよ」 
  
 「そんならさ、仁美も誘ってクレープとかどうよ? 明日なら丁度いいっしょ」 
  
 「さんせーい。でもどうしよう、今から悩んじゃうよ」 
  
 「ふふ、みんなで一口づつ交換すれば四種類楽しめるわ」 
  
 「ほむらも結構乗り気ですな! そうと決まれば今日は早めに帰るべし!」 
  
  最悪の可能性から目を背ける。そう、佐倉杏子が消耗しきり変化を遂げたというどうしようもない可能性から。 
  その様子を、『あの少女』が目撃して真実へとたどり着いてしまったという可能性から。 
  
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