49: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 17:30:04.31 ID:x2ueaAjJo
出会いは、突然だった。
いつもと同じように夕暮れどきにパトロールをしていた。
そして、これまたいつもと同じように魔女の結界を発見して中へと侵入する。
不敵な笑みを湛えることはなく、慎重に辺りを警戒する巴マミの姿がそこにはあった。
侵入した結界の中は鏡の迷宮という言葉がよく似合う。
入り組んでいるわけではないが、視界が騙されてややこしく、進むのに難儀する。
三度、正面から壁にぶつかったマミは、鼻の頭を赤くし若干目尻に涙を溜めている。
「うぅ、もうっ! 良いもん、いいもんッ!」
むくれながら大きな声で泣き言を言うと、手にマスケット銃を作り出す。
パっと、彼女は駆け出し、正面へと向けて銃を発砲する。
発射された弾丸は壁へとぶつかり、跳弾する。
それを確認したマミは反射鏡のような壁を見事に見破り、行き止まりの方へと顔面を強かに打ち付けた。
バタンッ、という見事な衝突音が結界の中に反響する。
「うぅ、間違えた。今度はちゃんとやらないと」
鼻っ柱を手で押さえて涙を流す少女はくるりと向き直り、銃を二丁召喚し直し、また駆け出す。
そして、正面と右側に同時に弾丸を打ち込む。
両方の弾が跳弾したことを確認し、左側へと切り返す。
どんどんと速力を上げて、先へと急ぐ。
「ふふふっ、どんなもんですか! 私にかかればこんな迷路なんでもないのよ!」
誰がいるわけでもない結界の中で、彼女は一人自信たっぷりに宣言する。
誰かに見られていたら赤面ものの恥かしさだが、魔女の結界の中にいるような人物は同業者か、
さもなくば夢心地でマーキングされた被害者だ、そんな心配はあまり必要ないのだろう。
銃弾が跳ね返る甲高い音と少女特有の重みの薄い足音だけが結界の中に反響する。
道自体は一本道だったようで、特に迂回することもなく、すんなりと魔女のいるであろう最深部まで辿り着く。
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