過去ログ - ほむら「向日葵と傷」
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60: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 17:46:24.88 ID:x2ueaAjJo

 理性が、本能を凌駕する。
 逃げろ。佐倉杏子を抱えて逃げろ。

(せめて遺体だけでも弔ってあげないと……、)

 マミが前に飛び出して杏子の体を捕まえようと動いたのと魔女の槍が彼女を貫かんと動いたのはほぼ同時だった。

 数滴の血飛沫がパッと散る。

 地面に小さく血痕が出来る。
 魔女の真後ろで巴マミは頬を拭い血を拭いた。片手には佐倉杏子の亡骸を抱えて。

(このまま結界の出口まで、逃げなきゃ。リボンでの足止めはあの槍に切られてあまり効果を発揮しない!)

 杏子の体を抱き上げ、駆ける。
 振り返ることなく背後へとリボンの結界を展開しながら、魔女の結界を全力で疾走する。

 展開した魔法はそう強力なものではない。
 そう、一つ一つは強力な魔法でも何でもなく、ただの簡易的な結界魔法だ。
 ただし、簡易的と言えども彼女ほどの実力者であれば一つの結界で一秒、二秒の時間を稼ぐことは容易い。

 つまり数を重ねれば重ねただけ時間稼ぎが出来る。
 大きく強い結界魔法はその分だけ時間もかかれば消費も大きい、しかも砕かれれば全てがご破算になってしまう。

 その点、壊されることを前提とした時間稼ぎならば最小の魔法で十分、というわけだ。

(相手の得物が鋭すぎるッ! そうよね佐倉さんの得物だもの、当然だわ。
だけど、これじゃあ外に出る前に追いつかれちゃうッ!)

 走り、次々と結界を展開しながら巴マミは思案する。
 強力な結界を生成しようか、ダメだ時間がない。
 迎撃するか、この状態で戦うのは無謀が過ぎる。
 勇敢と蛮勇をはき違えてはいけない。

 どうするべきだ、手立ては何か、ないのか。



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