過去ログ - ほむら「向日葵と傷」
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7: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 16:36:14.71 ID:x2ueaAjJo



 同日、宵闇が迫るころ。呪いの連鎖を断ち切る少女は二人の少女と連れ立って帰路を歩く。
 軽い足取りとは裏腹に、重苦しい運命の歯車は軋みを立てて廻り始めている。
 指し示す道は二つに一つ。危険か、平穏か。

 優しい少女は自らの平穏を選ぶことなど出来はしない。
 見捨てるという残酷な選択肢は、結局のところ存在しえない。
 例えその優しさが大いなる破滅という世界を生み落すことになろうとも。

 打ち捨てられた廃墟を走る。思考は単純、前後不覚で焦燥して憔悴している女性を追いかけ手を掴むためだ。
 追いかける、追いかける。明らかに覚束ない足取りであるのに、スーツを纏った女性の足は、速かった。

 初心も初動も分からずに、少女はただただ女性を追いかける。
 が、突如足を止めて閉口し、当たりを見回す。

 戸惑い。

 灰の森だったはずの辺りは、気づかぬうちに不思議の森へと変貌を遂げていた。
 感情と理解が追い付かず、困惑しながらも、もう一度足を動かして女性に追いすがる。

 あと少しで手を掴めるという段になると、正面を進む女性が、突然倒れ込んだ。
 伸ばした手が無情にも空を掴んだ神にも等しき片鱗を持つ少女は、慌てて駆け寄り、抱き寄せる。

 どういう訳か周りには奇妙で奇怪な綿毛が群がり集う。
 未知の恐怖に怖気づく少女だったが、それらに襲われることはなく、代わりに可憐な少女と遭逢した。

 白を基調とし、黄と橙を纏った少女はゆるく微笑む。

「その人を助けてくれてありがとう。
自己紹介をしたいところだけれど、その前に一仕事、片付けさせてもらっちゃうわね」



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