8: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 16:37:21.69 ID:x2ueaAjJo
大輪のようなその少女は何処からともなくライフリングマスケット銃を両の手に召喚し、制圧行動を開始する。
まずは一振り、眼前の標的へと発砲。
迫りくる三匹を銃身で叩き、足蹴にし、弾丸を開放することによって軽やかに撃破する。
撃ち終えた華美な長物は投げ捨て、新しいものを即時召喚し切り返す。
蠢き、襲いくる不気味な軍団を最小動作で撃滅していくその姿は機械的であり、冷笑。
寸分の迷いもなく廃棄物の山を積み上げていく。
純真を体現した少女は目の前で繰り広げられる一方的な殺陣に対して飛び越えた感情を抱く。
比類なき強靭さはいとも容易く掃き溜まる沼へと思考を突き落とした。
命を救われた、その事実は理解できる。だけれど、確信が持てない。
凡そ少女とは信じ難き母性を感じさせる人物は本当に人命救助をするような生き物なのか、と。
呆然と経緯を眺める無垢な少女を余所に、黄昏色の戦乙女は黙して撃鉄を響かせ続ける。
不意に、少女と少女の視線がかち合う。かち合ってしまう。
理解する。
生きる世界が然許りも違うということを。尽未来際理解しあえない極地にいるということを。
舞い散った蕾が静かに積もる。舞と花弁に飲み込まれた少女に意識が還る。
隙間と思考と足音だけが倫理を支配し、融解。
薔薇を慈しむ為の存在が消滅した。
黒と灰の世界へと出迎えられ、最早今とこれまでとが、空想と区別がつかなくなってしまう。
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