過去ログ - ほむら「向日葵と傷」
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90: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/12/06(土) 19:34:40.62 ID:x2ueaAjJo

「さぁ、行くわよ。焼き払ってあげる!」

 十五メートルを優に超える白色の砲身から実物を超える速度で弾頭が続々と打ち出され、その全てが正確に魔女の体を捉え、貫く。

 魔砲の嵐が、嵐の夜を吹き飛ばす。

 魔女を倒すための魔法だとは到底思えぬその大火力はあまりにも圧倒的な殲滅兵器であり、
その殺傷力だけならば過去類を見ないほどの出来栄えだった。

 そもそもにおいて魔力リソースを十割十分、攻撃に回した魔法少女など有史以前に遡ってもそうそうお目にかかれない。

 怒号と轟音が音という音を塗りつぶし、熱と衝撃が空気を踏み倒して当り散らす。
 町の壊れた一画を粉みじんにするかのように圧倒的な攻撃が魔女と街を叩き伏せる。
 魔女の高笑いにノイズが混じり始める。それは間違いなく、ダメージが通っていること指し示すようだった。

 揺蕩う魔女の、腹を突き破り、腕を吹き飛ばし、胸を貫通する。頭部を粉々に砕き、腰を抉り出す。
 硬く回り続ける歯車を数発の弾丸が直撃し、ひび割れを起こさせる。
 それを完全にすり潰すかのごとく、数発の弾頭が追撃し砕く。

 だが、そこまでやってもまだ半分。

 ワルプルギスの夜が蓄えた膨大な魔力は器を失ったからと言って霧散する程度のものでは済まされない。

 集合し器を失った魔力は、思念として、残滓として、あるべき姿を取り戻そうと形を作る。
 それは、ゾッとするような光景だった。意志なき力が、集合意識を模り、器を、表層を再形成していく。
 驚くべき速度で魔力は固まり、魔女ワルプルギスの夜を再度作り上げていく。しかも、正しく力を揮える形で、だ。

 頭が上で、足が下。何の変哲もない、正しい形。



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