過去ログ - アスナ「森の家に、お風呂を取り付けてみた」ユウキ「え、ボクも入るの?」 (SAO)
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19: ◆/BueNLs5lw[saga]
2014/12/08(月) 22:59:12.77 ID:fjS/Q13/0
アスナはボクの方を、正確にはカメラを見ていた。
穴が空くくらい、じっと。

「アスナッ……」

ボクは、もどかしかった。
仮想世界なら、感情に体は逆らえない。
でも、現実は違う。誰にも分からない。
今までだって、看護士にも医者にも親戚にも誰にも気づかれたことはない。
なにより、ボク自身が生身のその感覚を思い出せない。

でも、そう、キミは違った。

「ユウキ……泣かないで……ッ」

アスナにはボクの落涙が見えるのか。
嗚咽が聞こえるのか。

ボクは、泣いていた。
闇の中で、膝を抱えて。
深海に一人ぼっちのような、孤独。
 
「そこから、出たいんだよね……」

涙の乾かぬ顔で、アスナは小さく微笑んだ。
その顔に、ボクは強く惹かれた。
彼女は、意を決したように言った。

「いいよ。行こう……」

「いいの……?」

「いいんだよ、逃げたって……。ごめん、誰も、逃げちゃダメだなんて、本当は言えないよ……」

「そっか……」

ボクのワガママに付き合ってくれるの?

「……倉橋先生、あの――」




それからボクは、アスナの右肩に乗って、病院を後にした。


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