19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/12/14(日) 18:16:26.80 ID:F6x1vvEx0
「あっ……」
でも私は、いきなり現実にひき戻されました。
なんで私なんかが、ちょっとでも夢見ようなんて思ったんだろう。
胸がずきずきして、鼻の奥がつーんと痛くなりました。
私は、ゆっくりプロデューサーさんを振り返ります。
「……あの、ごめんなさい。私、アイドルなんてなれません」
「どうしてだい?」
「だって、お父さんとお母さんが忙しくって、だから弟たちの面倒を見ないといけないんです」
「なるほど。もしかして、やよいちゃんがここで泣いてたのも、そのことについてなのかな?」
「……」
私はつま先を見つめて、黙りこみます。
いつも泣きそうなときは、顔を見られたくないから前髪で隠すんです。
ほんとは、アイドルになってみたい。ほんとは、ずっと憧れてたんだもん。
小学生のときの町内会で、歌って踊って、盛り上がって、褒められて。
それからずっとアイドルになりたいって思ってたけど……
「ごめんなさい、アイドルにはなれないです。ほんとうに、ごめんなさい……」
だいちょうぶ、あきらめるのは慣れてるから。
がまんするのは得意だもん。お姉ちゃんだから。
だから、涙だってこらえられる。
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