過去ログ - キノの旅SS 「踏襲」 「ボイスレコーダーの国」
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20:カノン[saga]
2014/12/11(木) 21:30:10.20 ID:hy69iKD20

バンッ!バンバンッ!
残念そうな一言のあと、リヴォルバーの銃声が三つ続き、城壁の上からライフルタイプのパースエイダーが三つゴトンと音を立てて下に落ちてきました。
『ヒッ!』
五つの悲鳴が聞こえるよりも早く、
以下略



21:カノン[saga]
2014/12/11(木) 21:32:09.84 ID:hy69iKD20

『ひいいいいいいいいぃぃぃ!!』
同じような悲鳴をあげながら散り散りに逃げては腰を抜かし、その中の一人がブルブル震えながら機械をポケットから取り出すと門が開いていきます。
「僕が通ったらすぐに閉じてください。」
キノが指示を出し、
以下略



22:カノン[saga]
2014/12/11(木) 21:36:13.65 ID:hy69iKD20

なだらかな草原を、エルメスに乗ったキノが走っていました。
「キノ、それでどういう訳だったのさ?」
「あぁ、シズさん達は今も定住出来る国を探しているって。国政が落ち着いていて、人柄も良いような。それで、ある日あの国を訪れた。」
「それでそれで?」
以下略



23:カノン[saga]
2014/12/11(木) 21:38:23.67 ID:hy69iKD20

「それだけって?」
「なんか隠してない?もしかして愛の告白とか?」
「まさか。どうしてさ。」
「聴き終わった後、少し嬉しそうだったじゃん。」
以下略



24:カノン[saga]
2014/12/11(木) 22:13:23.21 ID:hy69iKD20

『踏襲−What does the boy choose?― a 』


よく晴れた日の太陽が一番高く昇る頃、一軒の家の庭で子どもが一人遊んでいた。
以下略



25:カノン[saga]
2014/12/11(木) 22:15:16.78 ID:hy69iKD20

結局母親が帰ったのは遊ぶのを止めて、おやつを食べて、また遊んで、太陽が沈みかけた頃だった。
ボロボロのバギーに乗った白い髪に緑色の瞳をした女性で、後部座席には手榴弾だとかロケットランチャーのような物騒なものをいくつもシートを被せて隠して載せてある。
門柱にぶつけそうな勢いでエンジンをヴンヴンと唸らせたまま敷地内へバギーをすべり込ませる。



26:カノン[saga]
2014/12/11(木) 22:16:47.57 ID:hy69iKD20

「母さん!ど、どうしたの!」
母親が無事に帰ってきた安心よりも驚きが先に声に出る。
「乗りなさい!早く!」
普段見せない母親の態度に男の子の体が硬直する。
以下略



27:カノン[saga]
2014/12/11(木) 22:18:54.58 ID:hy69iKD20

少し前、一台のバギーを追いかけながら運転手の男がぼやきます。
「師匠、そろそろこの車買い換えません?新品ならとっくに追いついてますよ。」
男は少し背の低いハンサムな男で、師匠と呼ばれたのは長い黒髪が艶やかな妙齢の女性で助手席に座っていました。
「あなた一人で仕事を終えたなら考えてもいいです。」
以下略



28:カノン[saga]
2014/12/11(木) 22:21:17.16 ID:hy69iKD20

門柱で体が隠せる位置に黄色い車が止まると男が、
「おっと、下手に動かないで下さいね。撃たなきゃいけなくなるんで。」
バギーの後部座席を漁っている母親の動きを見逃さず運転席の窓を開けて言いました。門柱の脇から銃口がしっかり母親を捉えています。
「国の雇われもんかい?悪いけど、まだ私は死ねないし、捕まるわけにも行かないんだよ!」
以下略



29:カノン[saga]
2014/12/11(木) 22:23:13.19 ID:hy69iKD20

パンッ!!
「うっ・・。」
先に打ったのは男でした。母親の抜いたパースエイダーは引き金を引かれることなく地面に転がっていきます。
「まぁ、熱くならずにお話をしませんか。何事も確実な方がいいでしょう。」
以下略



30:カノン[saga]
2014/12/11(木) 22:26:09.55 ID:hy69iKD20

「母さん、僕のことはいいからね。父さんの敵をとるんだろう?」
状況を察したにしても年齢にそぐわない冷静さで少年が口を開きました。
「・・・」
母親は無言のまま少年を抱き抱えると猛ダッシュで家の中へ駆け込みます。何かを覚悟したような顔でした。扉は空いたままです。
以下略



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