18: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/12/11(木) 23:37:32.34 ID:ey41gLLW0
「あ、あのー……」
思わずいても立ってもいられなくなり、阿良々木さんに声をかける。
こんなトンデモ展開に巻き込まれて、訳くらい聞いても罰は当たらないでしょう。
「あ、悪い荒木……身体は大丈夫か?」
「え?あ、はい、身体は何ともないっスけど……」
身体よりもこの状況の方が一大事だ。
夢だと言われた方が全然しっくりくる状況って、中々人生において出会えないと思うんスけど。
「手短に話そう。あの大きな犬みたいなのは荒木に取り憑いて夜な夜な悪さをしていた狼の怪異だ。荒木との初対面の時に調べに行ったのが、あの狼を祀ってる神社だった。そして今夜、荒木と狼を分離させることが出来た」
……怪異?
……狼の?
……つーか、怪異ってなんスか?
いや、そもそもいきなりそんな夢物語みたいな事を言われても、反応に困るんスけど。
「あの、すいません、理解出来ないんスけど、アタシがバカなのかアタシがバカにされてるのか、どっちっスか?」
「どっちでもないよ。夢とでも思っておけばいいさ」
夢っスか。
確かにそうっスね。
金髪さんがヒャハハー超ウケるとか笑いながら狼相手に巨大十字架を担いで追いかけっこをしている姿、なんてシュール極まりない光景が目の前にあることだし。
やっぱりまだ寝てるんスかね、アタシ。
「なあ荒木、話は変わるけど、お前はやっぱり誰よりも輝けるよ」
「は?」
阿良々木さんが、金髪さんを眺めながらそんな事を言った。
あまりにもいきなりの言葉に間抜けな声が出る。
「今、荒木が着ている服は、荒木の深層心理が選んだ服だ。可愛い格好をしたい、異性から持て囃されたい、誰よりも輝きたい、そんな想いだ」
「え……」
そう言われて見てみると、着ているのはいつか勇気を出してマルキューで買った服だった。
お洒落をしてみたくて、アキバに行くついでに、三時間くらい唸って厳選の末に買ったやつだ。
結局、一回も着る機会はなくてタンスの肥やしになっていた訳でスが。
それに、アタシみたいな女がそんなことを望むなんておこがましいじゃないっスか。
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