過去ログ - 阿良々木暦「ひなウルフ」
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6: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/12/11(木) 23:06:29.21 ID:ey41gLLW0

「ううん……暦君、もう一軒、もう一軒らけぇ」

「非常に魅力的な提案ですが、ダメです。送りますからとっとと立ってくださいよ片桐さん」

「んんもう、つめたいなぁ……私に飽きちゃったの?」

「……早く立たないと肩車で運びますよ」

「らにぃ〜、そんらこと言う子はタイホりゃぁ〜!」

「あっ、ちょ、ちょっとやめてください!うわ酒臭っ!くそっ、この酔っ払い!」

「……?」

と、少し離れたところでカップルがいちゃついていた。
いや、あれをいちゃついている、と表現するには少々語弊があるかも知れないけれど。
一目で女の方に主導権があると見受けられるのは、男の人に合掌っスね。

彼氏がいない(というか、作り方が良くわからない)身としては羨み妬む場面なのかも知れないが、残念ながらアタシにはカップル相手に嫉妬する程の矜恃は持ち合わせていなかった。

それにアタシ、男はともかく、女には興味ないんスよねえ。

「あの、すいません!」

突然の呼びかけに、それが自分に向けられたものだとは気付かなかった。
周りを見渡すも、見事にアタシしかいない。
片割れのお兄さんが、ぐでんぐでんに酔っ払っている女の人を置いてこちらにやって来る。

「アタシっスか?」

「ちょっといいですか?」

見たところ、普通のお兄さんだった。
年は、スーツを着ているところから社会人だろう。
身長もアタシとそんなに変わらないし、危険人物そうな外見でもない。
硬度の高そうなアホ毛が特徴的だった。

アホ毛っていいっスよね。
そこはかとなくセクシーで。
アタシもキャラ作りのためにアホ毛が欲しいところだけど、アレは多分、産まれ付いてのモノなのだろう。

「すみません、道を教えて欲しいんですが……あれ?」

どうやら道に迷っていたらしい。
この辺りでは見ない二人組だし、仕事か何かで来たのだろうか。
観光にしてはこんな真夜中に繁華街にいるのも変だし、不自然だ。怪しいことこの上ない。

「君、ひょっとして今日の朝会った……」

「はい?」

「あ、やっぱりそうだ。眼鏡も外して全然雰囲気の違う服着てるから別人かと思ったけど」

……何を言ってるっスかね、この人は。

そうは見えないけれど、彼も酔っ払っているのだろうか。
それとも連れがいるのにも関わらずナンパだろうか。
それにしては古風すぎる声のかけ方っスけど。



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