8: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/12/11(木) 23:13:09.88 ID:ey41gLLW0
003
「では番号札を持って少々お待ち下さい」
『3』と銘打たれた番号札を受け取り、適当な席に座る。
場所は近所のバーガー屋さんっスね。
余談だけどアタシはモス派っス。
他のバーガー屋とは違ってちょっとリッチな気分になれる所がお気に入りだったり。
やっぱり人間、何かに縛られる生活は健康に良くないっスよね。
〆切に追われない生活の何と素晴らしいことか。
「あれ?」
注文が来る間、手持ち無沙汰にしていると、対面に見知った顔がいた。
期間限定の激辛バーガーを渋い顔で齧っていた彼も、アタシの顔を見て目を丸くしている。
「あ、この間の」
「どうも……」
トレイを持ってこちらにやって来る彼。
先日、修羅場明けでグロッキー状態の時に道を聞かれたお兄さんだ。
「相席、いいかな?」
「はあ」
特に断る理由もないし、断れるだけの勇気もない。
この間会ったばかりの人とは言え、アンタとは話すことなんてないっスよ、なんて言える人はそういないと思う。
アタシ、典型的な断れない日本人でスし。
「いやあ、凄い偶然だな。こんな短期間にまた会うなんて」
確かに、この人間が過剰とも言える程に増えている時代において、特定の人間同士が偶然再開する確率はかなり低い。
そういう意味では結構な奇跡と言えなくもないが、正直なところ、どうでもいいというのがアタシの本音だ。
「改めてこの間はありがとう。僕は阿良々木暦」
と、名刺を渡してくる阿良々木さん。
スーツを着ているところを見ると、学生ではなく社会人だったらしい。
「荒木比奈でス。荒波の荒に大木の木、比べるに奈良漬けの奈っス」
生憎アタシは名刺なんて洒落たものは持っていないので口頭で説明する。
「荒木さんか。よろしく」
「呼び捨てでいいっスよ、多分アタシの方が年下だし」
「え、幾つなんだ?」
「ハタチっスよ」
「そうか、じゃあ荒木」
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