22: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/12/13(土) 15:47:38.56 ID:d32EPYEGo
「ほんと、焦ったよ。んで、何があった?」
何が?
……、特に何もない?
よくわからないので、とりあえず首を傾げる。
「お、おい。どうしたんだよ?」
狼狽える杏子の様子が面白い。
というか、別にどうもしていないのだけれど。
と、適当に思考したところで視界の違和感に気が付いた。
「ごめんなさい、ちょっと待って。話すけど、ちょっと待って」
目から涙が溢れている。
理由は何だろう。
ダメだ。心当たりがありすぎて、究明できない。
伝っていく涙を指で救い上げてみれば、止まる気配を見せずに流れていくばかりだ。
堪え切れなくなり、思わず杏子に抱き付いた。
「う、うぅぅ。うぅっ、」
自然と嗚咽が漏れだして、声をあげて見っともなく泣き叫ぶ。
驚いたろうに、だけれど杏子は抱き付いた私のことを優しく抱き返してくれた。
暖かな安心感と同時に、チクリとまた胸に鬱屈が積もる。
「……っ、」
何も言わずに背中と頭を撫でる手が心地よくて、感情と涙が引いていくまで甘えたくなる。
ダメなのに。こんなに甘えればまたあとで辛くなるのに。
だけれど、溢れだした感情は止められず、しがみつくように力が入る。
もはや、抑えも効かず歯止めも効かず、押し流されるまま子供のように泣きじゃくることしかできなくなっていた。
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