25: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/12/13(土) 15:50:46.15 ID:wNG2bU3Bo
「あんたも、そんなことで悩むんだな」
話し終っての杏子の第一声がそれだった。
「そんなことで悩むなんてあなたの知っている私らしくないかしら?」
「いや、違うよ。そういうんじゃなくさ、あたしも似たようなこと考えるから、さ」
そういって、「意外か?」と問いかけてくる彼女が何を想っているのかはなんとなく察しがついたが、きっと踏み込まないほうがいいのだろう。
「いいえ、多分。だからこそあなたを見てあんなに安心したんだと思う」
「そうかい、そいつは重畳だ。まっ、飯を奢ってくれんなら相談くらいには乗ってやるよ」
「ふふ、心強いわ」
「それから、」
少しだけ言い淀み、彼女は言葉を繋げる。
「よっぽど辛くなったら、あたしの魔法で何とかしてやるよ」
諦めたようにそんな提案をしてくれた。
「ありがとう、耐え切れなくなったら……、お願いするかもしれないわ」
そう返してみれば、決まりが悪そうに頭をかきながら、
「たくっ、調子狂うな。
あんただったら絶対に『ありがたいけど、これは私が向き合わないといけないことだから』
とでもいうと思ったんだけど?」
まったく、痛いところをつかれたものだ。
「そういう強がりは、卒業しようかしら」
「そうかい」
時間が経って少し伸びてしまった味噌ラーメンを口に含めば、それはなんだかとても暖かかった。
end
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