4: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/12/13(土) 16:20:59.12 ID:iUTgApp50
不老不死である魔女は「気が向けば」別の物に転生できる。
最後の知り合いが転生してから何年、いや何十年間、ずっと私は孤独。人々から嫌われ、森の奥で隠れるように魔術の研究に没頭する日々を送る。
いっそ私も――そう思う事もあるが、私はまだこの世に未練を残している。
森にはよく落し物が落ちている。その落し物の中にある、本を読むのが私の楽しみでもあった。
その中でも私は、特に恋愛小説を好んだ。
王子と姫、幼馴染の男女、身分違いの恋、波乱万丈な恋――空想の人物の恋愛模様に、胸を躍らせていた。
そして思う。私を嫌う人間達はこうも感情豊かで、様々な生き方をしているのだと。
勿論それは人間の御伽噺。魔女である私が体験できるものではない。
だけれど物語に憧れを抱きながら、変わらない毎日を過ごすのも、悪くはなかった。
魔女「あぁ、そう言えば」
そろそろ研究に必要な花が咲いている頃だろうか。
私は支度をし、花の咲く滝の麓へと向かうことにした。
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