過去ログ - 許嫁「愛していると言えますね?」
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4: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:47:04.33 ID:oOlmUUNN0

 男くんが部活を終えた後、ほんの一〇分くらいの短い逢瀬。

 わたしと男くんは中学の時から両思いで、一年生の頃には内緒で付き合っていた。始めてのデートは映画館で、今でもくすぐったい思い出だ。

 そしてそのままずるずると、こそこそ会う関係に甘んじている。

 いっそみんなに打ち明けていれば。恥ずかしいからと内気になった昔の自分が恨めしい。

 中学二年の時、男くんに許嫁ができた。両親にとても反発したけど、話を押し進められてしまったらしい。

 それからすぐ、許嫁さんが転校してきた。

 びっくりした。こんなに綺麗な人が本当にいるのかと驚いた。

 髪や肌を見れば、どれだけお金と気を使って手入れをしたか一発でわかる。

 立ち居振る舞いからは上品さが漂っていて、庶民のわたしには太刀打ちできないくらいの女らしさがあった。

 そして何より、男くんに注ぐ愛情は本物だった。

 話を聞いてみれば、ぽっと出の女の子というわけじゃないらしい。

 以前から交友があったし、その中で好意を何度もほのめかされていたみたいだ。

 許嫁さんのひたむきさや、両家の会社の思惑があって、今回のことに繋がったというだけで。

 あれから三年。わたしたちは高校二年生になって、もう取り返しがつかないことになっていた。

 わたしと男くんの関係は、きっともう終わっている。

 男くんと許嫁さんはみんなが公認の仲で、わたしは二人の間に入り込んだ泥棒猫だ。

 始まりがどうだったかなんて、とっくに吹き飛ぶくらいの季節が巡っていた。




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