17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/12/14(日) 00:53:37.45 ID:QcmbvjXlo
店長「……昔みたいなことはほとんどなくなったな」
店長「『そうする必要がなくなった』のだから当然かもしれないが」
店長「なんでかな、少し寂しいような気分だ」
京太郎「…………」
店長の言葉の意味は、京太郎には分からなかった
“向こう側”へと渡ってしまった者には大別して二種類がいる
宮永照や須賀京太郎のように、何の因果か鍵を手に入れて
様々な『扉』を開けていくうちに“向こう側”へと辿り着いた者
残るもう一方は、偶然に開かれていた『扉』から
これまた偶然が重なって迷い込んでしまった者
迷い込んでしまったが故に“向こう側”に対する知恵も心得もなく
ただ出口を求め彷徨う迷い人
小奇麗でシンプルな店内を丁寧に掃除する給仕服を着た女性
彼女――東横桃子という女性はそういう存在であった
彼女が“向こう側”に迷い込んだのが偶然なら
その後に店長と呼ばれることとなる人物と出会ったのも偶然
京太郎が《roof-top 二号店》の『扉』を開けたのも偶然
その時の彼が“こちら側”に戻って来た後だったのも
全てが、偶然だった
そして彼女らと出会って京太郎がやったことといえば
これまでと同じこと。特別なことなどない
“向こう側”に通じる『扉』を閉じた、それだけのこと
必要以上の交流もなければ、接点もない
だから京太郎には困ったように笑う店長の内心は分からない
115Res/62.49 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。