過去ログ - 京太郎「扉のこちら側」
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/12/14(日) 01:09:11.51 ID:QcmbvjXlo


他人のプライベートに首を突っ込みたがる、というよりは

多くの人間にとって衆目を集める者というのは

別の世界に暮らしているようなもので

彼らの中での価値は創作世界の人物に等しい形で存在している

即ち、画面越しに見える場所以外にも彼らは

京太郎や久のような人間に対して、ドラマチックなストーリーを期待しているのだ

そんなものなどありはせず

著名人も、大衆の中の一人も等価値の人間に過ぎないのに……



なおも食い下がろうとする久の追及をかわし

本題へと話を戻そうとする京太郎であったが

それは本当に、彼にとって心惹かれた女性との出会いは

至って普通で、仲を深めたことも他愛のない切欠に過ぎず

やはり全てが偶然の連続とほんの少しの気紛れに支配された

酷くつまらない、有り触れた筋書



それは開きかけの『扉』だった

誰かが『鍵』を開けて――けれど、そのまま開かなかった

少し力を込めれば開いてしまう、そんな『扉』だった



彼女は腐っているとも、腐りかけとも少し違った

扉は開いているのに“向こう側”を見ていなかったから

そこから多少の影響を受けることはあっても

自ら深入りしようとするには、知識も欲も足りていなかった

だから彼女は“向こう側”を見ていなかった

見ていなかったが故に、普通の人間だった

良くも悪くも



彼女の『扉』がそうなってしまったのは偶然だろうと京太郎は考える

もし仮に『鍵』を持つ人間によってそうなってしまったのだとしたら

これほど何がしたいのか分からない人間もそうそういない





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