3: ◆VeVueAKr8Y[saga]
2014/12/14(日) 23:49:11.45 ID:7sYhAw7co
〜〜〜
何もできなかった。
あの日も、私は何もできなかった。
大切なものは失わないように、大切なものを作らないように、ただ“歌う”という事に縋って生きてきたはずなのに……。
気がついたら……私の中の彼女はこんなにも重く、大きなものになっていた。
「千早……大丈夫か?」
「平気です。
春香はいつも私の歌を楽しそうに聞いてくれましたから……」
――あの子と同じように。
「だから、春香が元気をなくしている時こそ、私は歌わなければいけないんだと思います」
――春香は、親友だから。
「そう、か……。でも無理するなよ?
お前まで倒れちゃったら意味ないからな」
プロデューサーは少しだけさみしそうな、辛そうな顔をしていた。
疲れているのだろうか?
プロデューサーがそんな表情をするのを、私は初めて見た気がした。
「ほんと……どうなっちまうんだろうな……この先」
この時、無力なのは自分だけじゃないと気づく事が出来ていれば、未来は変わったかもしれない。
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