7: ◆VeVueAKr8Y[saga]
2014/12/15(月) 00:07:49.04 ID:yAR4A427o
〜〜〜
『アイドルを辞めるのは別に構わないが……僕はそのうち消えると思うぜ? それが明日なのか一年後なのか十年後なのかは知らないけどさ』
結局発信ボタンを押すことは出来ず、私はベッドに寝転がっていた。
携帯電話は電源を切って枕元に置いてある。
『まぁ、そう落ち込むなよ。 僕だって仕事の時に出てきちゃったのは気の毒な事をしたと思ってるさ』
実感としてこいつの存在を理解したのは、邂逅してから一週間ほどたってからのことだった。
そして、この日が私がアイドルをやめようと決心した日でもある。
その日のお仕事はトーク番組へのゲスト出演だった。
ゲストは私と千早ちゃん。
司会のタレントさんに挨拶をして、楽屋に戻った時のことだ。
「春香、最近なんだか元気がない?」
「……そんなことないよ? 私はいつでも元気元気!」
無理矢理笑ってごまかす。
頭の中のヤツのことを話しても頭がおかしくなったと思われるだけだしね。
「そう……ならいいけど……」
人付き合いが苦手なくせに、誰よりも周りの人のことを見ている千早ちゃん。
事務所の中では一番人の変化に敏感な伊織にすらまだ気づかれていないのにね。
私は知ってるよ、千早ちゃんが優しくてあったかい人ってことを。
亜美、真美や雪歩が千早ちゃんをまだ少しこわい人って思ってるのに密かに傷ついてることも知ってる。
「ありがとね、千早ちゃん。 みんな千早ちゃんともっと仲良くなりたいって思ってるよ、亜美真美や雪歩もね」
どうしていきなりそんなことを言ってしまったのかはわからない。
ただ、口に出てしまった。
「いきなり、なに?」
なに?と聞かれてもわからないものはわからない。
スタッフさんがタイミングよく呼びにきてくれて助かった。
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