過去ログ - モバＰ「聖夜にて、飛鳥と」 -SS速報VIP

過去ログ - モバＰ「聖夜にて、飛鳥と」

↓ 1- 覧 板 20

1:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 21:47:32.98 ID:9ALqniRVo

「さて、と……」

一般的な社会人の職務時間は朝の8時半頃から夕方の5時までで、それはアイドルのプロデューサーという多少珍しい仕事に付いている俺にとっても同様だ。

とはいえ、定時に仕事を終えることは殆どなく、就業のチャイムがなってからが本番、というのも、一般的な社会人と共通している訳で。

そういう訳で今日も今日とて、俺は残業という名の延長戦へと突入していた。

……ただ一ついつもと違うことがあるとするならば、それは俺の背後から感じる気配だろう。

未だ目の前に立ち塞がる書類の山脈から一旦目を離して、愛用している回転イスをぐるりと反時計周りに180度回転させたその先に見えたのは、俺の担当アイドルの姿だった。

SSWiki : ss.vip2ch.com

2:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 21:49:28.59 ID:9ALqniRVo

彼女――二宮飛鳥は、もう夜の8時に差し掛かろうとしているというのに、事務所に備え付けられているソファーに座り、いや、自分の荷物に寄りかかって半分寝ころんだような行儀の悪い体勢で、お気に入りの週刊誌を読んでいた。

その顔は、言ってしまえばあまり面白そうな表情では無くて、その様子から推測するに、飛鳥はすでにその雑誌を何周も読んでいるのだろう。

3:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 21:50:59.82 ID:9ALqniRVo

「見ろ、この書類の山を。お前の相手をしたいのもやまやまだが、俺は先にこいつの相手をしなきゃならないんだ」

「1時間前もまったく同じセリフを吐いていたよね、キミ。……同情はするけど、待たされるボクの気持ちにもなってよ」

4:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 21:53:12.29 ID:9ALqniRVo

飛鳥は俺を恨めし気な眼差しで睨んでいるが、その表情もまた刺激的で可愛いなあ、なんてことを思っていたら、彼女は忽然と表情のパターンを変えて、びくりと身体を震わせた。

「あれ、飛鳥は俺の気持ちが読めるのか」

5:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 21:55:08.94 ID:9ALqniRVo

「さっき君が言ってたライブの反省点だけどさ、例えば『ダンスに気を取られ過ぎてて歌声がぶれていた』とかはどうかな」

「さすが飛鳥だな！　やっぱり俺のアイドルは客観的に自己を評価できているな」

6:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 21:57:20.71 ID:9ALqniRVo

兎に角、飛鳥の指摘を元にして2,000字程度の反省レポートを書き終えた俺は、颯爽と帰り支度を済ませると、ソファーでつまらなそうにスマホを弄っていた飛鳥に声を書けた。

「よし飛鳥、帰るぞ！」

7:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:00:14.18 ID:9ALqniRVo

「つまりだね、ええと……」

彼女の説明は正鵠を得ているようでそうではない長々とした話だったが、簡単にまとめると、今日がクリスマスイヴだからという訳だ。

8:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:01:54.93 ID:9ALqniRVo

「そうかあ、言われてみれば今日はクリスマスイヴだったな。……あ！　もしかしてプレゼントとか期待してた……？」

恐る恐る尋ねた俺だったが、飛鳥は全く不満げではなくて。

9:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:03:38.11 ID:9ALqniRVo

そう話す彼女がとても寂しげに見えたから、

「……そうだな。じゃ、一緒に帰るか」

10:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:09:05.54 ID:9ALqniRVo

11:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:10:50.21 ID:9ALqniRVo

「飛鳥、大丈夫？　俺のマフラー太ももに巻く？」

「どさくさにまぎれて何変態発言してるのかなキミは……」

12:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:13:36.01 ID:9ALqniRVo

そうは言うものの、飛鳥はこう見えてシャイな性格で、自分の弱さをさらけ出すことに抵抗がある人物である。
恐らく今この瞬間も、彼女は肌を刺す寒さに苦しめられてるのだろう。

ふと、俺の前に現れたのは自動販売機だった。

13:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:16:01.30 ID:9ALqniRVo

14:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:18:14.54 ID:9ALqniRVo

「ねえＰ、何ぼさっとしてるのさ。そろそろ駅に着くよ」

「お、おう」

15:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:21:28.71 ID:9ALqniRVo

「ここまででいいのか？」

「うん。ボクの家は地下鉄の駅を降りてすぐだから。それにプロデューサーは別の路線だろう？　ここまでで十分さ」

16:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:24:16.40 ID:9ALqniRVo

そう言って彼女は預けていたトートバッグを俺から受け取り、地下通路へと歩いて行く。……そして俺から５メートル程離れた地点で、再びこちらに振り向いた。

「メリークリスマス！」

17:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:27:32.88 ID:9ALqniRVo

「……メリークリスマス」

相手もいないのに小さくそう呟くと、心なしか普段よりも軽やかな足取りでその場を後にした。

18:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:29:37.67 ID:9ALqniRVo
勢いで書いたので誤字誤表現多くてすみませんです

19:名無しNIPPER[sage]
2014/12/24(水) 22:45:47.63 ID:1U2fDxbe0
「太ももで温めたコーヒー」という新たな性癖に目覚めそうになった
少なくとも太ももと飲み物の組み合わせが自分的に驚天動地だ
これからは自販機を見るたびに女子の太ももを思い出すことにしよう

20:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 23:52:38.55 ID:4WSupzfDO
飛鳥の太もものよさをよくわかってらっしゃる

21:名無しNIPPER[sage]
2014/12/25(木) 00:52:21.62 ID:dDgN0gTQ0
何かに目覚めそうになるＳＳだなぁ

23Res/12.08 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ

Powered By VIPservice