過去ログ - 【ラブライブ】穂乃果「忘れちゃうなんてひどいよ」
1- 20
31:名無しNIPPER
2014/12/27(土) 01:35:32.73 ID:5pRa7xPuO


「えーりち」
「希!」

あれから1時間ほどたって。
聴き慣れた声に嬉しくなる。
ああ、やっぱり希は落ち着く。


「えりち、今日も穂乃果ちゃん来た?」


ぴくっ、とこめかみが動くのが自分でもわかった。
希の口からあの子の名前を聞くと、心がもやもやして落ち着かなくなった。


「えぇ……まぁ…あの、希、あの子にわたしの好物教えたりした?」
「好物?チョコレートやろ?」
「それはそうなんだけど……メーカーとか」
「ウチはなんにも教えてへんよ?」
「そう…」


なら、たまたまよね。
そう、偶然。偶然なんだから。


「今日見舞いに、ってそれ持ってきたからちょっとびっくりしたのよ。それ、普通のコンビニじゃ売ってないんだし」

「買いに行ったんやと思うよ、えりちのために。」
「そ、そんなことあるわけないじゃない!偶然でしょ!」

「んーん。そんなことない。穂乃果ちゃんはいつだってえりちを大切に思ってるし、笑顔にしたいって思ってる。…まぁ、それはウチもほかのメンバーも一緒やけど。穂乃果ちゃんにとってえりちは特別なんよ」


そうやって全部わかったように微笑まるのは正直何回されてもなれないし、少し不快だった。


「と、とにかく。私あの子が苦手なの。だからもう来ないようにあの子に行ってくれないかしら」
「……本気?」
「本気も何もあの子が来ると疲れるのよ、いらいらするの。」

「なんでなんえりち……」


希の失望したような顔を見て、
ああまた私は選択を間違ったんだろうなって悟った。
けど、希に言った言葉だって決して嘘なわけでもなかったし。

その時、バサッと何かの束が落ちた音がした。
希の足元に散らばるそれにわたしはベッドから身を乗り出して見る。


「写真……?」
「μ′sが活動してる時のね」

床からかき集めた写真をはい、と私に手渡す。
何気なく目をやるとそこには彼女と楽しそうにハイタッチをする私が映っていた。


「……私なの?これ」
「正真正銘のえりちや。ほら、この写真も穂乃果ちゃんとこんなに楽しそうにしてる」

希が指差した写真には、確かに満面の笑みで笑いあっている私と彼女が。
穴が開いている。それだけは直感的に分かった。


「穂乃果ちゃんとおるとな、えりちすーっごく楽しそうなんよ?」
「そんなこと言われても困るわよ……今の私はその頃の私とは違うもの。今はあの子は苦手なんだもの。」

悲しそうな顔は見ないふりをして窓の外に目をやる。


「えりちは、思い出したくないだけや。……思い出すのが怖いだけや…!」

そう吐き捨てると希は帰ってしまった。
希の瞳にもまた涙がたまっていた。

私自身ももう心も頭もぐちゃぐちゃだった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
59Res/58.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice