8: ◆LY9F0R2Cf.[sage saga]
2014/12/26(金) 00:38:59.41 ID:qOgPQWjp0
「うわ、もう12時過ぎてる……」
「仕事終わるのも遅かったですしね」
気兼ねなくゆっくりできるところは、それでも電車を乗り継いでの事務所が一番近かったのでした。
誰もいない事務所ってこんなに静かだったんですね。それに……寒い。
プロデューサーさんが電気と暖房をつけるまで、いつもの事務所の影は鳴りを潜めていました。
「すみません。菜々さん。こんなクリスマスで」
「いえいえ。プロデューサーさんといれただけでもナナは幸せですよ」
「……そうですか」
今日くらいはちょっと恥ずかしげなことも正直に言ってしまいましょう。
そんなナナの返事に、プロデューサーさんは相槌を返してくれるだけ。……もちろん、それで構いません。
「ま、せめて気分だけでもと」
「わっ、いろいろ用意されてますね……もしかして」
準備、してたんですか?
と口には出しませんでした。出してしまったらプロデューサーさんのお気持ちを無駄にしてしまうと悟りました。
「ずいぶんと安っぽいですけど、今日のところはこれで勘弁して下さい」
「今のナナはこれだけでもうれしいですよ」
過ごせると思っていなかったクリスマスを過ごせているんですから。
「本当は遊園地にでも行って観覧車に乗れればよかったんでしょうけど」
「あ、あれは忘れてください!」
「到底忘れられないですよ。衝撃的でしたから」
この人は忘れないって言ったら本当に忘れないので諦めます。
あんな人の失敗なんて覚えていてもいいことなんてないでしょうに。
それからプロデューサーさんは用意されていたコーラをグラスに注いで渡してくれました。
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