48: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2015/01/25(日) 09:47:57.59 ID:D6PZ2FqV0
上条は心の中で男の言葉を反芻していた。
その言葉通りに受け止めるなら、この男にとってレベル5の第三位である美琴より上条の方が価値が高いということになる。
学園都市でも他に類を見ない上条の右手に宿る特異な力。
身体検査ではレベル0という判定を受けているものの、確かに学園都市ならこの力に目を付ける人間が存在してもおかしくない。
そういう人間なら上条の過去について調べていても一応の筋は通っている気がする。
そして次に注視しなければならないのは、そんな上条の力も男の言っているゲームでは恐らく役に立たないということ。
今まで美琴を相手にしても負けたことが一度もない上条だったが、その力の使いどころは酷く限定的だ。
右手の力と少々喧嘩慣れをしていることを除けば、上条本来のスペックは普通の高校生と何ら変わりない。
それに比べて美琴の力は応用できる範囲が広く、危機的状況に置かれた時に力になるのは間違いなく美琴の方だろう。
だとすれば美琴を助けると息巻いたところで、実際に上条ができることは……。
『もう良いのではないか? 君は決して見て見ぬふりをした訳ではない。 ここまでやったら後は他の人間に任せても問題ないだろう?』
(っ、コイツ!?)
この男は上条の過去だけではない、上条当麻という人間の在り方まで良く知っている。
何の解決にならないことを知っていても、何かやったという慰めだけは欲しい。
美琴の行方に関する手掛かりは得ることができた。
ここから先は何の力にもなれないのが分かっているならば、後は事情を話して然るべき人間に託すべきではないのか?
男の言っていることは上条の思考に基づいた、上条がこれから取るであろう行動そのものだった。
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