54: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2015/01/25(日) 09:51:51.71 ID:D6PZ2FqV0
ジュルルル、ギィ
逃げるべきだった。
上条の目的はあくまでも美琴を連れ帰ることで、ましてや今は自分の身が安全なのかどうかすら分からない。
そんな状況で保身も考えずに動けるような者がいたとしたら、それこそ本物のヒーローくらいなものだ。
そして化け物の鋭い大顎が男性に振り下ろされた瞬間、
「くそっ!」
まるでコンクリートの壁にでもぶつかったような固い感触。
上条の体当たりを食らった化け物は、その衝撃によって男性の上からずり落ちる。
「早く逃げろっ!!」
「ひぃっ!」
化け物が退くと同時に、男性は一刻も早くこの場から逃げ出すために走り始めた。
そして上条もすぐにその後に続く。
上条は何も無欲で、男性を助ける為だけに動いた訳ではなかった。
ただここで生きている人間を見殺しにして、これから先のうのうと暮らしていくことが果たしてできるかどうか?
そんな思いを天秤に掛けた結果、精神的な安寧を図っただけだ。
しかし結果として、上条の選択は最悪の誤りだった。
「ぐああぁぁっ!!!!」
右脚の脹脛に激痛を感じると共に、上条の身体は地面に倒れ込む。
嫌な予感と共に上条が倒れたまま後ろに目を向けると、そこには
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