5: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:06:57.56 ID:bTDiL5Hz0
頭を働かせずに歩いていると里志が俺を追い抜いた。チェーンの回る音を響かせながら、手を振って進んでいく。
俺と里志は中学から同じで、一緒にいる期間も時間もそこそこ長いが、どうしてか連れ立って帰ることはなかった。
見る人が見ればその関係は「冷たい」と言われてしまうだろう。
冷たいといえば空気である。冬休みも終わり、あとは春休みを待つだけの身であるが、気温は心情の気楽さを読み取ってはくれない。まだまだ冬の日が続くそうだ。
ただ無為に歩き続けるのも悪くはなかったが、俺はどうせだからと合理性を出してみる。帰路にある本屋へと足を踏み入れた。
街に一つはある、大規模チェーンの本屋である。
平日の夕方でも人はいるものだった。やはり学生が多い。セーラー服に学ランに、ブレザー。
白いセーラー服と学ランは俺が通う神山高校、ブレザーは近所の有名私立高校のものである。
我が天下の神山高校は、地域の大部分の中学生が入学してくる。それは他に高校がないことを意味しない。
それこそ寒村の寺子屋に甘んじない精神の旺盛な、所謂進学校と呼ばれるものも、当然ある。
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