過去ログ - 【オリキャラ】ファンタジー世界で異能バトル【地の文】
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23:名無しNIPPER[saga]
2014/12/30(火) 21:45:36.21 ID:ua/RWuYL0



 ・・・・・・



 追跡対象であった獣人―――ゲゲログが遺跡の陰に姿を隠したことで、モータルは薄く眼を細めた。


(……さて、どうするか)


 一応、あの獣人が消えた方角はわかっているので追跡は続行できる。

 しかし先ほどの女エルフとの接触によって、獣人は周囲を警戒しているはずだ。

 獣人は勘が鋭い上に感覚器官が他種族とは段違いだ。迂闊に近づけば気づかれてしまうかもしれない。

 ましてや、あのいかにも強固そうな鱗だ。モータル自慢の銃弾やナイフが、皮膚に通るかさえ怪しい。

 となれば魔法や異能に頼りたいところだが、あいにくモータルにはどちらの心得もない。


(……その上)


 モータルはナイフを取り出して、その磨き抜かれた刀身の反射で背後をうかがう。

 そこには浮浪者か奴隷のようにみすぼらしい姿の獣人が、非常にお粗末な追跡をしている様子が映っていた。

 おそらくそのターゲットはモータルだろうが、あれでどうしてバレていないと思えるのだろう。モータルは不思議で仕方がなかった。


(あのワニ獣人の仲間か? 目的は何だ? なにかの能力にハメる準備でもしているのか?)


 獣人同士がグルだった場合、モータルの尾行もバレているということであり、挟み撃ちを食らう危険性がある。

 モータルはしばし目を伏せ、それから、


(遺跡のどこかで先ほどのような戦闘が起こったら、その混乱に乗じて“石版”の文字を読みに行くか)


 先ほどワニ獣人が不思議そうに眺めていた、あの石版。

 ワニ獣人はまったくもって解読できなかった様子だが……あそこに、この遺跡の重要な秘密が記されているのかもしれない。


(まぁ、なんだ。とりあえず、私も後ろの尾行を撒くとしよう)


 そう決心したモータルは、遺跡の角を曲がると同時に、全力で走り抜けるのだった。



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