1: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:02:23.01 ID:dm/Enhbf0
君が産まれるずっと前
いつか見た世界の中で
僕らは旅を続けていた
優しい世界を歩くため……
君が産まれる前、君はどこで何をしていたんだい?
分からない……?そうか、そうだよね
僕が何をしていたかって?そうだね、僕はね……
魔王「進路よし、風向きよし!それじゃあ、魔王としての第一歩を踏みだそう!」
側近「……」
魔王「何か言いたげだね、側近?」
側近「配下も大した数を従えず、仮住まいの城を手に入れたからって何が魔王なんだか」
魔王「ハハ、それは言わない約束だよ」
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2: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:02:40.61 ID:dm/Enhbf0
側近「貴方がどうしようと私は付き合うけれど、王を名乗るのならばもっとらしい事をしてからにして」
魔王「"王"ではなく"魔王"だよ、僕は」
側近「どう違うんだか……まったく」
3: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:03:08.96 ID:dm/Enhbf0
オーク「おーいアンタら何やってんだい、出発するぞー!!」
側近「ほら、一番の配下が呼んでいる」
4: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:03:36.81 ID:dm/Enhbf0
オーク「しかし何だな、突然馬車を用意させるなんてどうしたんだ?わざわざ近場の牧場まで買いに走らせやがって……」
側近「ご苦労様です。私も理由は分からないのでそこの自称魔王に聞いてください」
魔王「酷い言いぐさだなぁ」
5: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:04:17.80 ID:dm/Enhbf0
魔王「少し前に、ここからちょっと遠くで天界から何かが落ちてきたみたいなんだ」
側近「そんなの分かるの?」
魔王「昔、同じような事があったからね。前兆程度なら」
6: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:06:12.57 ID:dm/Enhbf0
――――――
―――
―
7: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:06:52.05 ID:dm/Enhbf0
側近「本来天界に棲む神は自分の所有物の紛失は極端に嫌う、と文献で読んだのだけれど」
魔王「ふむ、それで?」
側近「天界から落ちてくるとしたら、まず考えられるのは彼らが所有する"神器"と呼ばれるマジックアイテム」
8: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:07:20.74 ID:dm/Enhbf0
側近「それを手に入れる為に、今こうして行動しているのではないの」
魔王「まさか、僕は誰かも知らないヒトの力を使おうなんて思いもしないよ」
側近「"悪魔だから天界の力なんて使わない"の間違いじゃなくて」
9: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:07:46.89 ID:dm/Enhbf0
オーク「お、オイ魔王!側近!!大変だ!!空からヒトが!!」
側近「ハァ?」
魔王「ほらみろ!!ほれみたことか!!」
10: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:08:14.10 ID:dm/Enhbf0
天使「―――!!」
「―――」
「―――」
11: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:08:52.79 ID:dm/Enhbf0
天使「―――ッ!」
「―――」
「―――」
12: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:09:23.97 ID:dm/Enhbf0
魔王「助けよう!」
側近「……はぁ」
オーク「お、オイ魔王!!……あーあ、飛び出しちまったぞ。あんな派手にコケちゃってもう」
13: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:09:51.10 ID:dm/Enhbf0
魔王「痛たたた……カッコよく飛び出すもんじゃないね、コレは」
側近「何がカッコいいんだか。身体が頑丈でよかったものを」
魔王「あれ?来ちゃったんだ。無理して付き合う必要は無いのに」
14: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:10:25.73 ID:dm/Enhbf0
「逃がしはしない」
「裏切者めが」
天使「ッ!!」
15: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:10:55.20 ID:dm/Enhbf0
側近「あ、落ちた」
魔王「そんな悠長に言わなくていいから!!間に合え!!」
側近「どう考えても間に合う距離じゃないでしょうに。ちょっと失礼」
16: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:11:26.29 ID:dm/Enhbf0
天使「……」
天使(ここで、終わってしまうのだろうか……)
天使(私は役目を果たさなければいけないというのに……)
17: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:12:05.89 ID:dm/Enhbf0
魔王「ギ、ギリギリ……セー……フ?」
天使「クッ……つぅ……ッ!」
魔王「よ、よかった、間に合ったみたいだ。大丈夫かい?上手く掴んだつもりだけど、どこか怪我はないかい?って、元々怪我だらけか……」
18: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:12:36.08 ID:dm/Enhbf0
「……貴様、何者だ」
魔王「何者でも構わないだろう。しかし、大の男が二人がかりで女性を襲うなんて、ただ事じゃないね」
「貴様には関係あるまい。その女と女の持つ剣を渡せ、そうすれば見逃してやろう」
19: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:13:03.31 ID:dm/Enhbf0
「見たところ貴様、地上人の皮を被っているが魔界の者か」
「下賤な種が。我ら神に選ばれし種の言葉の重みも知らぬとは」
魔王「貴方達がどのような人達かは僕は分からないし、分かるつもりもない。余計な事に首を突っ込んだ非礼も詫びる、だけれども」
20: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:13:41.57 ID:dm/Enhbf0
魔王「この世に生を受け育みそして地に還る!その営みの中に居る僕たちに何の違いがある!!」
「ある」
「生まれながらにして既に優劣は着いている。論点をずらすな、下賤な種よ」
21: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2014/12/31(水) 04:14:07.63 ID:dm/Enhbf0
「……気が変わった」
「ああ、私もだ」
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