過去ログ - 魔王「天使がいた物語」
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376: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 21:51:36.06 ID:bd0uItio0
魔王「僕の話を……聞いてくれるかな?」

天使「どうぞご勝手に」

魔王「うん、ありがと。まずは……そうだね、始めに僕の名前を預けておくよ」
以下略



377: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 21:52:08.65 ID:bd0uItio0
天使「何故そんなことを始めに?」

魔王「そんなこと、なんて言葉で片付けないで。前にも言っただろう?真名の契り。君にはちゃんと明かしておきたかったから」

天使「……」
以下略



378: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:46:11.20 ID:bd0uItio0
魔王「僕は昔、数千年前、魔界での戦いに疲れ逃げ出したんだ。仲間たちを捨てて、自分だけ地上へ」

魔王「でも、その地上であったのは平穏とは言い難い生活。化け物と蔑まれ、恐れられ、虐げられて……」

魔王「力でねじ伏せるなんて僕には出来なかった。そうされて当然の行いも今までしてきたんだ」
以下略



379: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:47:00.22 ID:bd0uItio0
魔王「重傷を負っていたから放っておけもせず、僕は彼を介抱した。何日も何日も、目を覚ますまでずっと」

魔王「数日経ってようやく彼は目を覚ました。僕を見るなり驚いた顔をしていたよ、魔族に天使を助けるような奴がいるなんてって言われた。アハハ、そこじゃないだろうに」

魔王「彼が落ちてきた理由は聞かなかった。大体天使が落ちる理由なんて堕天以外には考えられなかったからね。同時に、彼も僕が地上に上がった理由は聞かなかった。たった一言、"お前に戦いは向いていない"って言われたっけな。彼なりに察してくれたみたいだ」
以下略



380: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:47:50.19 ID:bd0uItio0
魔王「そうして、僕たちは地上を見て回ることにしたんだ。二人がまだ知らない世界だったからこそ、それを知る為の旅を」

魔王「長い旅だった……彼が僕を守り、僕が彼を支え、意見の食い違いから口論になったり殴り合いのけんかになったり。ま、僕が彼に勝てるハズも無かったんだけど」

魔王「地上の人達の醜さ、優しさ……彼らの持つ可能性を知っていく中で、僕たちはある決心をした」
以下略



381: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:48:17.16 ID:bd0uItio0
魔王「しかし、そうは上手くはいかなかった。彼がまだ生きていると知った天使たちが、彼を始末するために僕たちを襲ったんだ」

魔王「きっとその中に、君を襲った二人組もいたんだろう。ナツァルは僕を足手まといになると洞窟に閉じ込め、一人で戦いに出た……数十人という天使の軍勢を相手に」

天使「兄は神から危険視されていた身。地上で目立たずに始末する限界まで絞った人数だったのでしょう。本来なら兄はその程度の人数に負けるハズが無い」
以下略



382: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:49:04.28 ID:bd0uItio0
魔王「……彼が死んだという事実を、僕は受け止める事が出来なかった。だから僕は……禁忌を犯した」

天使「禁忌……?」

魔王「完全に魂が天に還る前に、僕は契約魔法と呼ばれる魔法で彼の魂を無理矢理肉体から引き剥がした」
以下略



383: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:50:17.25 ID:bd0uItio0
天使「それはどういう……?」

魔王「……話を続けよう。身体が馴染むまでの期間、また二人でリハビリも兼ねて旅をしていた」

魔王「この頃になると、僕も魔法で今のような人の姿に変身して、迫害を受ける事もなくなった」
以下略



384: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:51:08.03 ID:bd0uItio0
魔王「彼らは地上の、その時代の勇者を裏で操り、僕たちを陥れようとした。危うくお互いを信じられずに同士討ちをするところだった」

魔王「彼と僕は戦う事を決意し、彼らに挑むことにした。だが、それすらも計算の内だった」

魔王「本当に裏で操っていたのは、かつて彼を殺した天使たちだった」
以下略



385: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:51:51.61 ID:bd0uItio0
魔王「これが、僕たちが辿った地上での出来事だ。結局、僕は友人を救う事も守ることも……約束を果たす事も出来なかった」

天使「兄さんは……貴方を守る為に……死んだのですね……」

魔王「彼は生きている!!」
以下略



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