過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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13:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 18:12:25.62 ID:gIGEqEoto
室内を見回してみると、柩はデスクの前のそれひとつだけではなかった。
これまで見てきた二体と全く同じ、夜の闇の色の立方体が、ちょうど窓際に位置するダブルベッドの上に、もう一体。
どうやら、『こっち』は父親のほうで、既に寝入っていたようだ。
頭痛を覚えた俺は、こめかみを押さえながら、出来るだけ音を立てないようにドアを閉め、ひとつため息をついた。

そうして自室に戻った俺は、昨日と同じように、ブレザーを寝巻きの上から羽織り、一人思考を巡らせていた。
少なくとも、この家の人間の中で、この『時間』の中で活動できるのは、どうやら俺だけらしい。
そして、俺以外の人間は皆、あの黒い柩へと変わっている。
外も、似たような状況になっているのだろうか。
確かめに行きたい気持ちもあったが、この得体の知れない状況で、動き回る気はしなかった。
しかし、世界は依然として静寂に包まれていて、ほかの何者かがどこかで活動しているような気配は、全く感じられない。

止まった時間の中に、たった一人の俺。

……ほんの二、三分ほど、俺は頭を抱えた体制で、唸り声とも嘆息ともつかない声を上げていた。
何かを考えようにも、何が起きているのかがわからないのだから話にならない。
そんな状況で、俺に何かできることがあるだろうか。
コツ、コツと、音を立てながら、無意味に過ぎてゆく時間……

時間。
俺ははたと気づき、壁の時計に視線を向けた。
先ほど見た時と同様に、三本の針が真上を示した形で停止した時計。
沈黙に満ちた部屋の中で、唯一、僅かに聴こえる時を刻む音。
―――この音は、どこから聞こえているんだ?
室内を見回し、音の聞こえてくる方向を探る。
それからほんの十秒ほどで、俺は、月光に照らされた勉強机の上に、見覚えのない、卵型の物体が置かれていることに気づいた。

「これは……時計か?」

音を発しているのは、その物体のようだった。手のひらに収まるほどのサイズで、押しボタンらしき突起が付いている。


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