過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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15:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 18:15:58.54 ID:gIGEqEoto
手の中の時計が放つものとは別に、秒針が時を刻む音が聞こえて、その音のした方向を見る。
壁の時計が、息を吹き返したように、時間を刻んでいた。時刻は、零時を回り始めてから、ほんの一分弱。
窓の外には、あの漆黒の空ではない、やや曇った夜の空が広がっている。
何処か遠くから、犬の鳴き声が聞こえる。当たり前にある、現実の夜の喧騒だ。
大気は温く、じっとりと湿気を帯びている。

「零時……」

俺の目の前で、零時を示して止まった時計。変貌した世界。
それらが再び、今、ここにある様相を取り戻すのにまでに掛かったのは、どれくらいだろうか。
あの奇妙な『時間』は、いつ始まり、いつ終わった?

「この、時計」

ふと、手の中の時計のことを思い出す。
短針のない懐中時計……その長針と秒針は、零を示したまま、動くことをやめていた。
……理解の遅い俺の頭でも、ようやく、状況の輪郭が掴めてきた。
おそらく、次にこの懐中時計が動き出すのは、もう一度零時がやってきた時。

零から始まり、零で終わる。
時計が示すことのない、空白の―――静止した時間。
そんな時間の中に、俺は迷い込んでしまっていたのだ。
んな、馬鹿な。
そう言って、何度だって夢だと思いなおしたい。
しかし、俺の手の中に、あの時間の中で見つけたこの懐中時計があるという事実は、あの時間の中での出来事が、俺にとって本当にあった事なのだということを決定づけていた。

腹をくくった俺は、もう一度、心の中で、昨晩と同じ事を思った。

何かが起きているのだ。
おそらく、俺の想像の限りを、かなり越えるであろう、何らかの現象が。


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