過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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23:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 18:29:08.47 ID:gIGEqEoto

「この時間さえ、乗り切れば……!」

右手に懐中時計を握り締め、奥歯で言葉を噛み潰しながら、俺は廊下に飛び出した。
「何か」は、それをすぐさま察知したらしく、ドアに攻撃を仕掛けるのをやめ、わさわさと音を立てながら、一人疾走する俺に向き直った。
ほんの一秒ほどの沈黙を挟んだ後、すぐに俺の背を追いかけ始める、「何か」。
リノリウムの床をひた走りながら、俺はほんの一瞬、肩ごしに背後を振り返り、『そいつ』の姿を見た。
見て、愕然とした。

『そいつ』は、人を象ろうとし始めて、途中で挫折した、黒い粘土細工の欠片を、いくつも寄せ集め、塊にしたような姿をしていた。
腕と見て取れるものが、塊からいくつも突き出しているが、歩行しているわけではなく、床に接している部分はヘドロかスライムのような様相を呈しており、前後も左右も構わずに這いずり回っている。
そんな中で、特に目を引いたのが。突き出した何本かの手の中に、青い仮面のようなものを持っているというところだ。
そいつは、まるでその仮面に視覚があるかのように、仮面を手にした腕を前方へと突き出しながら、ビタビタと音を立てて俺に迫ってくる。

俺はこれまでに、何度か、常識を超えた、理屈では説明できない生物を目にしてきた。
が、今回のこいつほどえげつないのと対面したのは、初めてだね。
それも、誰のサポートもなしにだ。どうなってやがる、古泉。助けてくれ、長門。



………

そうして、話は冒頭に戻るわけだ。
頭の中で、いままでのあらすじをようやく語り終えた俺は、あとがきのようなものに手を付ける暇もなく、青い仮面の異形との追いかけっこに明け暮れている。
上り階段は、まだ終わらない。もう数十分も走り続けており、正直足が限界だ。
足を踏み外そうものなら、あの化物の餌だ。精神的なプレッシャーに耐えながら、体を酷使する。そのコンボが辛い。
だが。もう少し、もう少しなのだ。両足に神経を配りながら、右手の中の時計を睨む。
長針が示しているのは、零のわずかに左。あと一分かそこらで、この悪夢のような一時間に終止符が打たれるはずなのだ。
その瞬間に願いを掛け、階段を上り続ける……何度目かの踊り場にぶつかり、進路を変え、更に駆け上がろうと、新たな行く手に視線を向け……
―――俺は、固まった。


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