過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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238:名無しNIPPER[saga]
2015/01/01(木) 21:25:00.26 ID:t8V4LTxho
おいおい、マジかよ。見る見るうちに満月が遠くなり、視界に瓦礫が混ざり始める。俺たち、何階に居たっけ。あ、屋上か。屋上って、何階だっけ?とにかく、地面までの距離がハンパじゃないのは確かだ。

あたりは、見る見るうちに崩れてゆく。瓦礫と、空と、そこから覗く月光だけが、俺の視界を埋め尽くしていた。
塔の残骸が散らばっているばかりで、そこに仲間の姿は見当たらない。体はどんどん落下してゆく。天を仰ぐと、既に月はどこにも見えなくなってしまっていた。


「キョン!」


不意に―――俺を呼ぶ声がする。
重力に支配された体を無理矢理捻じ曲げ、声のした方向へ振り向く。
そこに在る、見慣れた顔。

「ハルヒ!」

まるで魔法の呪文を唱えるような気分で、そこに居た者の名前を呼ぶ。

「キョン、助けて―――怖いよ!」

塔が崩れる衝撃で、さすがに目を覚ましたらしい。そこにはハルヒが居て、俺と同じように、落下に身を任せながら、こちらに向けて手を伸ばしていた。―――空を泳ぐ。とはこんなことを言うのだろう。
俺は揺れ動く体を必死で鞭打ち、俺に向けて伸ばされたハルヒの手を握り締めた。しかし、それ以上どうすることも出来はしない。今や、ハルヒには神の力も何もないのだ。

体は止めど無く落ちてゆく。今、地上どれぐらいだろうか。分からない。俺の感覚なら、もうとっくに地面に叩きつけられていてもおかしくないんだが。
ハルヒは俺の手を両手で握り締めると、この場に似合わない、鳥の鳴くような声で言った。

「ごめんなさい、キョン、私、あいつに騙されて―――!」

先ほど、ニャルラトホテプが、ハルヒの体を借りて話をしていた間の記憶があるのだろうか。或いは、この状況から、全てを悟ったのか。
両目から、大粒の涙を零しながら、ハルヒは、何度も何度も、ごめんなさい。という言葉を発した。馬鹿野郎、そんな場合じゃないだろうが。
ハルヒの流した涙が、まるでシャボン玉のように、周囲に浮かぶ。それらが、俺たちを包み込む青白い光に反射して、輝く―――


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